【退職前に考えるべきこと】”不幸な退職”の防止方法
今回は、”不幸な退職の防止方法”について書きます。
まず”不幸な退職”とは、下記のようなケースでの退職です。
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・会社側にも、退職者側にもメリットのない退職
・退職者がキャリアダウンになる退職
・次の就職先の宛てがないのに退職
・これまで培ってきたキャリアをリセットする退職
・同僚などが退社したので、空気に流されての退職
・残された同僚に悪影響がある退職 など
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現在、私は東京の一部上場企業で、50名程の部署の管理職をしています。
就任して3年ですが、幸いなことにまだ退職する社員は出ていません。
退職者が出ないよう、細心の注意を払っていることもありますが、退職がすべて悪いとは思っていません。
退職者にとっても、会社側にとっても、メリットがあるケースも多くあります。
しかし社内の他の部署を見ると、”不幸な退職”が多く発生していることも事実です。
今回は現役でマネジメントをしている立場から、”不幸な退職の防止策”について考えてみたいと思います。
退職・退社する理由
退社・退社は会社側の視点で見るか、社員側の視点で見るかで、捉え方は大きく異なります。
まず退職・退社する理由について、厚生労働省の調査を見てみます。
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「退職を考え始めたきっかけを教えてください」〈平成30年 厚生労働省調査〉
-男性-
1. 16.9%:定年・契約期間満期
2. 10.2%:給料が低い
3. 10.0%:労働時間・休日などの労働条件が悪い
4. 7.7%:職場の人間関係
5. 7.6%:会社の将来が不安
6. 5.9%:会社都合
7. 4.8%:能力・個性を活かせない
8. 4.6%:仕事の内容に興味を持てない
9. 0.7%:結婚
10. 0.6%:介護・看護
-女性-
1. 14.8%:定年・契約期間満期
2. 13.4%:労働時間・休日などの労働条件が悪い
3. 11.8 %:職場の人間関係
4. 8.8%:給料が低い
5. 5.5%:仕事の内容に興味を持てない
6. 4.7%:会社都合
7. 4.3%:能力・個性を活かせない
8. 4.0%:会社の将来が不安
9. 2.6%:結婚
10. 1.3%:出産・育児
厚生労働省「雇用動向調査」HPより
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男女とも1位の「定年・契約期間満期」については、雇用契約の問題ですので、今回は除外します。
2位以下について、「労働時間・休日などの労働条件が悪い」「給料が低い」「職場の人間関係」が共通しており、
3大退職理由といえそうです。
私も15年以上、会社員として働いてきたので、辞めていった人も何人か見てきました。
これまでの生の声として、上記以外の理由は下記のようになります。
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・この会社にいても、これ以上、成長する気がしない
・業務が多すぎて疲れた
・仕事の拘束時間が長く、プライベートが犠牲になっている
・セクハラやパワハラにあっている
・そもそも仕事の内容が合わない
・子離れしたので、脱サラ
・会社の将来性が不安
・子どもが成長して誇れる仕事がしたくなった
・プライベートの変化(旦那の転勤、介護)
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退職・退社理由には大きく2つに分かれそうです。
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・「労働条件が悪い」など、会社起因の理由
・「プライベートの変化」など、私的な理由
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2つのうちで、今回は会社起因に絞って考えてみます。
そしてさらに、会社起因のなかにも、「給料」に絡んでいるものと、そうでないものに分けることができそうです。
「業務過多」「プライベートの時間が犠牲になる」などは、給料が高ければ許容できる範囲だったかもしれません。
また残業1日1時間の社員に対しては周囲から見ると、拘束時間が多いようには見えませんが、「給料が低い」ため、当人にとっては不満が蓄積するケースもあります。
しかし、いずれにしても根本は一緒です。
たとえ今回は我慢したとしても、長続きせずに近いうち退社することになります。
会社への不満は蓄積していくと「会社の雰囲気が自分に合わない」「社風や風土が合わない」「会社の業績が悪く将来が不安」など、抽象的な理由に変化します。
そうなると就業すればするほど、ストレスが蓄積され、双方にとって悪循環に陥ってしまいます。
もう一方の退職理由である「職場の人間関係」については根が深いです。
パワハラ、セクハラは論外ですが、通常、人間的な側面からの問題や課題は、時間を掛けて解決を図ることがセオリーです。
プロジェクトチームでの人間関係が上手くいっていない場合は、役割を明確にしたり、配置換えしたり、時間が解決することもあります。
グループ内の人間や同僚なども、利害関係がなくなれば改善することもあります。
しかし上司との関係がこじれた際は特に厄介です。
いずれにしても、”不満”が起因になり、退社を解決策にした場合、”不幸な退職”につながりやすいようです。
幸福な退職について
逆に、”幸福な退社”は、冒頭に書いた"不幸な退職"の反対と考えればよいですが、念のためまとめてみます。
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・会社側にも、退職者側にもメリットのある退社
・退職者がキャリアアップになる退社
・次の就職先を決めてからの退社
・これまで培ってきたキャリアが継続している退社
・何年も前から準備してきたなど、主体的な退社
・残された同僚からも歓迎された退社
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多くの方は退職後、新しい職場で働きます。
その際はキャリアアップすることが最善です。
私が考える一番幸福な転職とは、ヘッドハンティングや、仕事でつながった人からの「声掛け」、リクルーターからの「紹介」または「引き抜き」だと思います。
転職者のポテンシャルを充分に理解してもらったうえで、声を掛けしてくれた移動は発展的な退社です。
また長年の夢の実現や起業など、前向きな退職も歓迎です。
では、どうしたら「不幸な退職」がなくなり、「幸福な退社」になるかについてですが、今回は3つに絞って挙げてみました。
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■仕事に”やりがい”を感じよう
■社内に友人をつくろう
■モラールを高めよう
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1つずつ紹介します。
”不幸な退職”をなくす方法
■仕事に”やりがい”を感じよう
ありきたりかもしれませんが、まず”やりがい”を一番に挙げます。
仕事での”やりがい”とは、本人と社会の関係のなかで生まれるものです。
自分の仕事の成果が社会にどう活かされ、どんな「評価」を得られるのか、それによって「やりがいがある」と感じるのが健全です。
ですから、誰かにも感謝されず、人の役に立っている実感がない仕事は、「誰のためにやっているんだろうか・・・」「なんのために働いているんだろうか・・・」と、仕事に対する”やりがい”が感じられなくなります。
たとえ間接部門に所属していても、誰かに感謝されている実感がないと、やりがいがなくなります。
また、BtoB企業の社員は消費者が見えづらく、注意が必要です。
しかし、やりがいは、個人個人の気持ちの持ちようにもよります。
よくある例え話ですが、ご紹介します。
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建築現場で働いている人に、「なにをしているんですか?」と聞いてみたところ、別々の答えが返ってきました。
1人目は「柱を切ってます」と答えました。
2人目は「家を立ててます」と答えました。
3人目は「人が暮らすための、住み心地よい住居をつくっています」と答えました。
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同じ作業をしていても、意識ひとつで働き甲斐は変わります。
そしてその意識に対し「自分が行ったことへの功績」について褒められたとき、最も満たされ”やりがい”を感じます。
「マズローの5段階欲求」のなかでいう「承認欲求」になります。
〈参考書籍:『マズロー心理学入門 人間性心理学の源流を求めて』(著者 中野明、発行元 アルテ/星雲社、2016)
■社内に友人をつくろう
退職の本質的な問題から逸れてしまうかもしれませんが、この要素は意外に大きいです。
それは会社へのエンゲージメントの高さは、組織や一緒に働く同僚たちへのエンゲージメントも含まれるからです。
高いエンゲージメントによって集団としての信頼感も高くなる傾向があります。
仕事に対してモチベーションが下がるときや、行き詰まることは誰でもあります。
その際、気軽に話せる友人が職場にいれば、不満を共有することで気分転換にもなり、モチベーションの回復に役立ちます。
また社内の友人に”不幸な退職”へのアラートを出すこともでき、未然の防止にもつながります。
モラールを高めよう
前述の「社内に友人をつくる」で、モチベーションを高めることは退職の防止につながると書きました。
現実に「仲の良い会社は離職率が低い」という調査結果もあります。
しかし実際に会社側が、社員のモチベーションを上げるための施策を一生懸命することは別です。
会社の行事で飲み会の頻度を増やしたり、バーベキューを開催したり、キャンプに行ったり・・・、上司が部下のモチベーションを気にし過ぎるのは、マネジメントの域を超えています。
やるべきは、モチベーションアップではなく、モラールを高めることです。
モラールは士気のことです。
では、どうすればモラールが高まるのか?
手っ取り早いのは、”仕事を任せる”ことです。
任せることで、リーダーシップが身につきます。
リーダーシップは責任感を生み、モラールが高まります。
会社の社内教育のなかで、リーダー教育を社歴の浅い社員に受けさせる企業が増えています。
主体的に動く社員を育成するためですが、それによって与えられた業務をこなすだけでなく、自発的に仕事を見出して積極的に取組む姿勢が生まれ、モラールも高まるそうです。
モラールが高くなると、社員としてのエンゲージメントが向上し、定着率に止まらず業績向上にも貢献します。
最後にまとめ
「会社は人材が第一」と、多くの経営者は言っています。
人材の流出は会社側にとって大きな痛手です。
退職した社員も積み上げたキャリアを台無しにするような転職は避けなければいけません。
”不幸な退職”を防止するように、さらに身を引き締めてマネジメントしていきたいです。
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