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電車遅延を考慮した経路探索が可能になりました

乗る予定の電車が遅延している!さあどうする?

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 皆さんこんにちは、「メタルは全てを解決する」です。さあライブの時間だ!とメタルTを着込んで出かけたら電車が遅延…このまま遅延している電車に乗っていいものか、迂回して別ルートで行ったほうが早く着くのか悩んだことはないでしょうか。私はあります。

 今回、ナビタイムジャパンでは鉄道会社がオープンデータとして公開している列車位置情報・遅延情報を活用し、 リアルタイムに遅延を考慮した経路探索 を実現しました。本記事はそのサービスの紹介です。

ナビタイムジャパンにおけるこれまでの取り組み

 「経路探索エンジンの技術で世界の産業に奉仕する」という経営理念を掲げるナビタイムジャパンでは、以前より電車遅延に対して様々な取り組みを実施してきました。

 2005年には、鉄道運行情報をサービス上で見られるようにしました。

 また、2010年には運行情報がある路線を迂回する「迂回ルート検索」の機能提供を開始しています。

 (プレスリリース中の画像がフィーチャーフォンのもので、時代を感じさせますね)

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 そして2015年には、その迂回ルート検索機能をリニューアル。それまでは路線をまるごと迂回するようなルートとなっていましたが、この対応で「遅延が発生している」区間に限って迂回するような機能へと進化しました。

「ユーザーが遅延発生の影響を極力受けないようにする」という観点では、この時点である程度の完成を見ました。

迂回ルートサービスイメージ

なぜリアルタイムに遅延を考慮したいのか

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 さて、今回紹介する「リアルタイム遅延考慮」は、必ずしも遅延が発生する区間を避ける機能ではありません。「遅延したダイヤを考慮して経路探索を行う」機能です。
 もしかしたら「遅延が発生している路線はそもそも避けてしまうんだったら、何のために『遅延考慮』なんてやるの?」と疑問に思われるかもしれません。

 なぜ、すでに遅延区間を回避する機能があるのに遅延考慮を行うのでしょうか。開発中のツール画面をもとに解説させていただきます。

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 取り消し線で消されている時刻が時刻表通りの時刻で、赤字で示されているのは遅延を考慮した時刻です。もう少し拡大して見てみると・・・

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 もともとの時刻では20:13に出発予定だった電車が、10分遅れとなることで20:23発となっています。そして、もともと五反田駅には20:16着の予定だったので、時刻表通りの運行だった場合はこの電車には乗れないということがわかります。

 「駅についたら電車遅延のアナウンスがあったが、遅延した結果、乗ろうと思っていた電車の、前に来るはずだった電車に乗ることができた。結果的に早く着いた。」こういった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 なお、今回の「リアルタイム遅延考慮」経路探索は、ただ遅延した時刻表を考慮するだけではありません。遅延した時刻表を考慮したうえで最適な経路を探索します。つまり、遅延している路線に乗るのが最適なら乗るし、そうでないなら迂回した経路を提示するのです。

 少し、まとめます。

 これまでの迂回経路探索は、一度経路探索を行ったあとにユーザー側で再探索するかしないかを判断し再実行する必要がありました。しかし、今回「リアルタイムでの遅延考慮」が実現されたことにより、ユーザー側で再探索を行うことなく目的地到着までの正確な到着時刻、そして最適な経路を知ることができます。

リアルタイム遅延考慮実現の仕組み

 リアルタイム遅延考慮機能は、現時点では「東京メトロ」「JR東日本(JR相模線、JR八高線、東北エリアJR全線を除く)」「都営地下鉄」に対応しています。これらの路線の遅延情報は、「公共交通オープンデータ協議会」そして「東京公共交通オープンデータチャレンジ」で公開されているものを利用しています。

 今回はこれらのデータをナビタイムジャパンで扱っている経路探索用データと紐づけ、経路探索時に参照する仕組みを開発しました。

リアルタイム遅延情報作成フロー (1)

 また、遅延情報は鮮度が命なので、毎分という高い頻度でデータ生成を行っています。このようにして経路探索エンジンから参照できるようにし、通常の経路探索用データと同等に扱っているため、遅延を考慮したうえでの最適な経路探索が実現できています。

 なお、上ではいかにも「開発中です!」という画面で紹介してしまいましたが、サービスでは下図のような見せ方になっています。

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ユーザーの皆さまが安心して移動できるように

 今回紹介させていただいた「リアルタイム遅延考慮」は、電車遅延を考慮した上で最適な経路を提供するというものでした。

 人が移動をする際には、電車遅延以外にも課題がたくさんあります。
公共交通であれば、混雑。
自動車やバイクであれば、渋滞。事故。
自転車であれば坂道。
徒歩であれば歩きやすさやわかりやすさ。

 ナビタイムジャパンのサービス上でその課題解決に取り組めているものもあれば、まだまだこれから、というものもあります。ユーザーの皆さまが安心して移動できるように、私たちはこれからも最適な、そして安全で安心な経路を追及していきます。