
バイクライダーのために細かいチューニングで実現した「トンネル回避ルート」開発の裏側
こんにちは、ゆうきちと 城下町ウォーカー です。
ゆうきちはルート検索の研究開発をしています。城下町ウォーカーは『ツーリングサポーター』のAndroidアプリを開発しています。
先日、当社のバイク専用ナビゲーションアプリ『ツーリングサポーター』において新機能「トンネル回避ルート」を提供開始しました。
今回は、その新機能について開発の裏側をご紹介します。
トンネル回避ルートとは
「トンネル回避ルート」機能は、トンネルを回避したルートを検索結果に表示できます。
対象のトンネルがある場合、ルート検索結果に「回避」ボタンが表示され、これを押すとトンネルを回避したルートが最大3つ(「推奨」「無料」「高速」)表示されます。また、「キャンセル」を押すことで通常のルート検索に戻ることも可能です。
機能の使い方について、詳しくは以下の記事でもご紹介しています。
開発のきっかけ
以前より、ツーリングサポーターのユーザーの皆様から「トンネルを通らないルートを提案してほしい」という声が多く寄せられていました。
ユーザーの課題に合った解決策となるような機能にするため、お寄せ頂いたご意見を分析し、どのような理由でトンネルの回避を望んでいるのかを把握しました。
その結果、多くはトンネルの熱のこもりやすさや、電波状況の悪さを理由に回避したいというものでしたが、他にもいくつか理由があることがわかりました。また、熱のこもりやすいトンネルも、特に夏場に回避したいが冬は通っていいなど、季節によって回避のニーズが異なることがわかりました。
回避したい理由や条件が人によって様々であり、また都市部以外のトンネルはむしろ涼しい場合もあることから、ユーザーがトンネルを回避するかどうかを状況に応じて選択できるようにする、というコンセプトのもとで開発が進められることになりました。
トンネル回避経路のチューニング
夏の暑い時期、特に長いトンネルを走行する際は、直射日光を避けられるものの、気温や湿度によってはトンネル内が高温になり、熱中症などのリスクが高まります。さらに、交通量が多い場合、走行車の排熱や排気ガスにより、ドライバーは一層、暑さを感じることでしょう。
今回、そうした暑さの影響を受けやすい長いトンネルを回避できるよう、経路をチューニングしました。トンネルと一口に言っても、アンダーパスのような短いものから、山手トンネルのような長大トンネルまでさまざまです。そのため、すべてのトンネルを一律に回避するのではなく、暑さの影響を受けやすい長大トンネルを中心に避けるように調整しています。これにより、短いトンネルも含めてすべてを回避することなく、無駄な迂回を防ぎつつ、納得感のあるルートを提案できるようにしています。

今回の取り組みでは、対応可能なトンネルデータを整備し、それを経路探索で利用できるようにしました。道路ネットワークデータにはもともとトンネルかどうかを判定できる属性が含まれていますが、経路探索エンジンはなるべく短時間で結果を返すように設計されています。そのままのトンネルデータではパフォーマンスを維持しながら回避ルートを算出することはできなかったため、経路探索上の設計に耐えられるように新たにトンネルデータの整備を行いました。
当社の経路探索エンジンについては下記で概要を紹介していますので、ご興味があればこちらもご参照ください。
おわりに
今回は『ツーリングサポーター』の新機能「トンネル回避ルート」の開発の道のりをご紹介しました。本機能に関わらず、ルート検索開発者とアプリ開発者で密にコミュニケーションを取りながら、今後もルート検索の品質や機能改善を進め、ユーザーの皆様の安全で快適な移動をサポートできるよう、サービス向上に努めてまいります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。