2023年11月〜武漢旅行記 その3〜黄鶴楼にて李白の見た景色を想う
黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送るという有名な漢詩で、あの李白がこの黄鶴楼で読んだという。孟浩然(もうこうねん)と言えば春眠不覚暁の人です。以下、自分なりに訳してみた。
どうしてこんなに美しい詩を作れるのだろう?
毎日見たであろう何気ない風景、古くからの友を送る気持ち、もう二度と会えないかもしれない
シンプルな言葉。何一つ感情的な言葉を出してないのに感情が伝わる。そして千年以上の時を超えて、いまだに人の心を打つ。映画監督のアン・ホイ氏も作品でたしかこの詩を使っていたような。
黄鶴楼は武漢にあった。全く知らなかったし、詩とこの場所が最初は結び付かなかった。渡航前、写真で何回も見た黄鶴楼。京都在住ということもあり、東寺くらいの大きさを想像してたら、想像よりはるかに大きく、しかも平地ではなく、山の上に聳えていた。つまり塔にたどり着くには山を登らないといけない。道も整備されてて15分ほどです。
私の訪れた日は、突然の寒波が武漢を襲い、20℃近くあった気温が一気に摂氏零度にもなろうかいう勢いで冷え、風も強く、雨はザーザー、息は真っ白、どんよりとした雲と大気汚染で空はグレイ。
火災に遭い、幾度も再建され形も昔と全然ちがうけれど、李白がこの塔から友である孟浩然を見送ったのかと思うと、胸が熱い。
私は最上階まで階段を上り、長江を見た。
天に流れる長江の果ては、高層ビルと大橋とグレイな大気に遮られて
もう見えなかった・・・
李白が見たであろう川と入り混じるような美しい紺碧の空も
天の果てに流れる長江も今はもう見えなかったけど
心の中にその美しい景色を想像してみたのでした。