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記憶の断片


こういうタイプのキーホルダーがまだ売ってるらしい。


子どものころ、ねじがゆるんで
いろんなキーホルダーを落っことしてきたことを思い出した。おみやげやもらいものの謎のキーホルダーもたくさんあった。




小6のとき、好きだった子から 
グラウンドに落ちてたという指輪をもらったことがあった。「ん」って、くれた。


もらうところを何人かに目撃されていた。
「わー!!?えーーーっ/////」
「いやそれ拾った指輪やん!誰かのやん!」
とかなんとか
いろいろ言われながらも、一度は受け取った。


「ん!」の圧が彼そっくりだった



その日、制服の上着のポケットに
何度も確認するみたいに手を入れて
指輪のつるつるを確かめた。
うれしかった、けれど複雑だった。
なぜなら彼は別の子が好きだともっぱらの噂だったから。
わたしはわたしで
「今のお氣持ちは!?」
「元の持ち主に返すべき!!!」
「泥棒!」
とその日いちにち同級生たちから絡まれ、
囃し立てられたりして、いたたまれなかった。
かといって先生に経緯を話して落としものとして届けるのもなんだか、イヤだった。




それで帰り、ひとりになったタイミングでこっそりと下駄箱の彼の上履きのなかに入れた。
「かえす」ことにしたのだった。
そのことに関して、あとから彼に何か言われることはなかった。


あの指輪。
グラウンドで彼が拾ったらしい指輪。
どういうつもりで、
あのとき、わたしにくれたんだろう。



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写藍
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