文学賞のお祭り
芥川賞と直木賞の候補作が発表されましたね。
この時期は一部の本好きの間では文学賞のお祭りみたいな感じだよね。
私も発表前からドキドキして、発表されたらワクワクして
「よーし候補作読むぞ!」
となってる。
近くに同じ趣味の本好きさんがいないから
直接本について語り合う事は出来ないけれど
今はSNSを通じていろんな人の話を聞いたり読んだりできる。
そうやって本好きさんたちで、盛り上がって受賞作の発表日まで過ごすのもとても楽しい。
映画って、観た人同士が感想を語り合うってまぁまぁある事だと感じるんだけど
小説にいたっては、映画に比べて少ないように感じる。
その理由は、大衆文芸系の本を読む人たちの人口は本好き人口の多くを占めるけれど
その本好きさんたちは、読んだ本を
「ああでもない、こうでもない」と本の深掘りをして語り合う趣向の人が少ないからではないか?
と個人的に思っている。
読んで「あれ面白かったよね」「絶対おすすめだよ」
「あれと同じような本ってある?」
というような会話で終了が多い。
「あの部分のあれってああいう事だと思うんだよね」
「この小説があえて三人称になっているのは、こういう事だと思うんだ」
みたいな語られ合いは、偏見かもしれなけれど
大衆文芸好きさん同士では少ないように感じる。
それに対して、純文学好きさんたちは
本当はそういう事を語り合いたくてウズウズしている。
けれどそもそもが、純文学好きさん人口が少なくて
中々語り合える人に出会えない。
それが今のネット社会ならば可能になったのだ。
そしてこうやって芥川賞、直木賞の候補作発表の時期なんかになると、そういう人を見つけやすくなる。
その上みんなが、同じ『候補作』という作品を読む事になるから課題図書を与えられたみたいに同時期に一斉にその話が出来やすくなる。
純文学好きさんが、普段読まない大衆文芸を読んだり
その逆の、大衆文芸好きさんが手を出さなかった純文学を手に取ったりする機会となるのも、この行事のおかげだ。
これは本当に楽しい。
本好きにとっては、花火大会や夏祭りに集うような文学賞のお祭りなのだ。
というわけで、これから特に濃密な読書の1ヶ月を愉悦に浸りたい。