母が亡くなった(葬儀社へ)
葬儀社の人は中々こなかった。
いつくるかとヤキモキしながら、私たちは母と一緒に霊安室に行った。
その霊安室までは、さっきの感じ悪っ!の看護師さんが連れてきてくれたんだけど義父曰く
「鬼の目にも涙というやつか?なんかさっきの看護師、少し泣いてるようにも見えたぞ」
と言う。あ、そう。と私はもうどうでもいいと思っていた。
それよりも今後、葬儀社の人が来てもし気に入らなかったらチェンジ(その葬儀社を断って別の葬儀社を呼ぶ)は出来るのだろうかとか、話し合いだけにくるのかな?でも遺体を運ぶ車だっているよね?
などを考えていた。
それにその葬儀社の人のところにするとして、私たちはどう移動するかも考えなければいけない。
私と義父の二人も乗れるのだろうか、どっちかしか乗れなかったら義父に乗ってもらって、私はタクシーかな。
でもタクシーで、かなりかかる距離だよね。と考えていたら案外早く葬儀社の人がやってきた。
さて話し合いだ、と思ったら当たり前のように母を車に乗せて葬儀社に向かうと言う。
詳しい話は葬儀社についてからしましょうと。
『ああ、これはしてやられたな。人質みたいなものじゃないか』
とは思ったけれど、私も義父も二人とも車に乗れると言うし、もうここでゴチャゴチャやるのもなと観念して葬儀社の人に従った。
みんなこういう時、どうするものなんだろう?
どうするのが正解なのだろう?
私は母が亡くなる前に、ネットや電話で各葬儀社を比較しながら調べたにも関わらず、甘かったのだろう、この状態だ。
普通もっと、身内が亡くなったらこんなに早く葬儀社の手配どころでは無いのでは?
どこにするかの選択だって、テレビCMや知り合いがやった葬儀社や、どこかで見かける看板などの情報だけを頼りに、手配するしか無いのではないだろうか。
だからだろう。比較されて他にいかれないように、詳しい話をギリギリまでしなかったり、でも入り口である受付対応は、やけに親切そうだったり。
そういえば、サイトで色々見ている時に見積もり依頼をしようとしたある会社の質問欄に『他社でも見積もりしていますか?』なんてのがあった。
他社と比較している家は、ちょっと裏で安くなるとかあるのだろうか。
足元を見られやすい状況だからこそ、しっかりしないといけないんだろうな。
オプションだと言っては、何かと追加料金を取られるのが普通らしく、宣伝文句に
「当社は一切の追加料金をいただきません」
などと書いてある会社もあった。
親の残したお金がたくさんある家なら『こんな時だからお金は気にしない』と思って事を進められるだろう。
けれど私の場合のように、親にお金が無い場合は子どもである私がこういったお金を準備しないといけないかもしれないのだ。しかも私は一人っ子。
こういう時の責任とお金も私一人にかかってくるのだ。
シビアにならざるおえない。