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必ず助け出す
ギルティ(2018/デンマーク)
監督:グスタフ・モーラー
出演:ヤコブ・セーダーグレン
イェシカ・ディナウエ
思い込みという危険な落とし穴。言葉と音に耳を研ぎ澄ませ、二転三転する会話の果てに彼に起きた出来事は、己の罪と向き合うことだった。身を切るような緊張。噴き出してくる真実。長い長い夜が明け、電話のベルはもう鳴らないが、彼の闘いはこれから始まる。
真夜中の緊急コールセンターを舞台に繰り広げられる密室劇。たまたま受けた1本の電話から思いもよらない事件に巻き込まれてしまった主人公が、耳を澄ませて手がかりを探りながら、会話と音だけを頼りに電話の相手を助け出そうとする。
受話器の向こうで一体何が起きているのか。時間が進むにつれて、妄想で頭がパンパン。電話線だけが頼りの彼があらゆる手段を駆使して解決に挑む姿は、1人芝居のようなスリルがある。
ところが「おや?何か変だ」と気づいてからは、ストーリーが一気に加速化。予定調和とかけ離れた展開に、こりゃまいったまいった。
これほど脚本の上手さが際立つ映画もめずらしい。そして主人公が決して正義のヒーローではなく、自身も深刻な問題を抱えたズルい人間であるところがよい。
この長い孤独な夜は、きっと彼のためにあったのだ。