「ひこうき雲」から 〜曇り空ときっと言える〜
さて。
ユーミンが好きなので掘り直してる2018年。
出会いから35年たった今、改めて感じるのは「天才」。ご本人も著書「ルージュの伝言」の冒頭でおっしゃっているとおり、ユーミンは天才だ。
なんてったってニューミュージックというジャンルを新設した人なんだから。
そんな天才ユーミンの1stアルバムである
「ひこうき雲」。
どの楽曲を聴いても完成度高いし、言葉遣いの巧みさも含めて舌を巻いてしまいます。ほんと、改めて。
このアルバムからの2曲は「曇り空」と「きっと言える」です。
あまりにも有名な「ひこうき雲」は言わずとしれた名作。
だからこそ、それとは対照的な「曇り空」にあたしは惹かれます。まあ、昔から暗い歌が好きなんですけどね。
ひこうき雲のメロディーはメジャー。
対して曇り空はマイナーです。
そして、ひこうき雲が「死」をテーマにしているのに対して曇り空が歌っているのは「生」。
しかも、けだるさをまとった生です。
どんなレビューにも、ユーミンの歌に「死」をテーマにしたものが多いことがあげられています。
そしてその「死」の表現が美しい。あこがれさえも感じとれます。ひこうき雲の死もまた軽やかできれいです。
一方で、曇り空で表現されているのは、いつもの景色と主人公の気分です。
二階の窓を開け放したら霧が部屋まで入ってきそうなのです。それは美しく暗い情景です。
そして、優しい雨が降っているから外に行きたくないのです。
気が乗らない日だってある。
生きるって、毎日がきらきら輝くわけじゃない。
それでもあたしたちは、死ぬまで生きていくんだよね。
めんどくさかったり、だるさを時に感じても。
そんな日常を、ユーミンはこの一曲に美しく切り取ってると思います。
さて。
2曲めは、曇り空とは曲調としても内容としても対照的な「きっと言える」。
これはポジティブでキュートです。
音的にも歌詞的にもちょっとどきどきします。
きっとユーミンはサリンジャー読んだんだろうな。
「南に向かう船のデッキ」でも「風がささやく小麦畑」でも「ありきたりの街角」でも
頭の中は「あなた」でいっぱい。
好きすぎていっぱい。
女の子の鼓動が聞こえてきそうなメロディーです。
あたしは、曲の作られ方を解説できるほど音楽偏差値が高い人種ではありません。偉そうなことを言うつもりは全くないけど、でも、この曲の転調の技はすごいと思うの。違和感なしでここまで転調を繰り返す曲を聴いたことはありません。
(引き出し少ないだけかも・・・)
この転調と告白したいどきどきが重なってて、聞いてるこっちもどきどきしちゃうんだよね。
ひこうき雲
https://www.amazon.co.jp/dp/B00005GMFM/ref=cm_sw_r_cp_api_y51cCb6TCY4P
ちなみに、ユーミンのデビュー曲はひこうき雲ではなく、「返事はいらない」デス。