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#1 ほっとコーヒー



つかれたら



コーヒー飲んで



ほっと一息




ほら




ここにも




宇宙(あい)がある にゃん



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


(ものがたり) 『香りのあじ』



小さいころ



コーヒーの香りが大好きだった



でも飲むと苦くて



びっくりした




おいしそうに飲む大人を見て




やっぱりおいしいんだ




って思って




また飲んだけど




やっぱり苦かった




『その苦さがいいんだ』って




大人は言った




そういうものなのかな




子供ごころにそう思った




大人になって




コーヒーを飲めるようになった





香りは好きだけど





やっぱり苦い




でも苦いと言いながら




飲んでいた




その香りがすきだったから




その苦みがくせになりそうだったから




ほら




あれに似てるよ





恋?





とても幸せな香りがするのに




実際のところ




会えない寂しさや



振り向いて貰えない悲しさ



捨てられる不安



いろんなものが付きまとって




かなり苦い




ふと昔の言葉が蘇る




『その苦さがいいんだよ』




こどものころ




わたしは




苦さがどういうものなのか




しらなかった




大人になって




苦さを知って




苦さがきらいになった




きらいなくせに




苦さを追いかけていた





もう少し大人になったら




その苦ささえ




おいしくなるのかな?





そんなことを思っていると





なんだか




コーヒーが飲みたくなって





ひとり静かに入れてみた





コーヒーを入れおわったころ





風がどこからともなく




吹きこんできた気がした





あれ?




窓開けてたかな?





窓のところに目をやると





静かに陽の光が差し込んでいた






コーヒーに手を伸ばすと





変なねこが




コーヒーに何かをかけている






え?




なにしてんの?





こっちに気づいてるのか




気づいてないのか




変なねこは




コーヒーに何かをかけ終わると





ご機嫌にしっぽを揺らしながら





消えていった






どうしよう




これ





得体の知れないコーヒーを




飲むか飲まないかの選択に




迫られていた




いや




飲めないっしょ




流しに持っていこうと




カップを持ち上げたとき





身体が勝手にそのコーヒーを




口に流し込んだ




あれ?




苦くない




そのコーヒーは




不思議と苦さを感じない





そして胸の奥から




あたたかいものが





こみあげてきた





なにこれ?




それは




小さいころに感じた





コーヒーの香り





そのまんまの





味だった





ああわたし






この味に出逢いたかったんだ






苦いはずのコーヒーを




なぜ苦いといいながら




飲みつづけていたのか




何となく




分かった気がした




そうだ




苦さには




その奥がある




だから




求めずにはいられない




だってそれは




とっても





良い香りをしているんだもの











«宇宙を かける ねこ»


宇宙をかけめぐりながら

色んなものに宇宙(ソース)をかける猫

神出鬼没と思われがちだが

基本的にどこにでもいる



宇宙を かける ねこ|ちゅん子 #note

これから ふえる (予定 )

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