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「沖縄・初」のクラフトサケ醸造所を0から立ち上げる話 -第4話-

「職人としての責任感」

はいさい〜。玉城幸太です。
「沖縄でクラフトサケ造る」目標を実現するため、浅草の「木花之醸造所」でお酒造りの修行をしてきました。全くの未経験からのスタートでしたが、この修行を通じて、職人の世界の厳しさと奥深さを学びました。

特に印象に残ったのは「衛生管理の徹底」と「蔵人としての責任感」です。技術を学ぶだけでなく、日本酒造りにかける職人の覚悟を体感したこの経験を、今回はお話ししたいと思います。


修行の苦労と成長

浅草「木花之醸造所」での修行は、まさに自分の成長と挑戦の場でした。師匠の木村さんは全くの未経験だった私に、一つ一つ丁寧にお酒造りの基本を教えてくれました。今回は、その中でも特に印象に残っている「衛生管理」と「職人としての責任感」についてお話しします。

衛生管理の徹底ぶり

お酒造りでまず驚かされたのは、衛生管理の徹底です。実際にやってみるまでは、これほどまでに徹底した管理が必要だとは思いませんでした。毎回手を洗い、アルコールで消毒し、使う道具も全てすぐ消毒。ほんの少しの雑菌でもお酒の品質に影響を与えてしまうため、気を抜くことは許されません。これほどの厳しさを持って造られているからこそ、あの美味しいお酒が生まれるのだと改めて感じました。

これだけの量の洗米でもなかなかの体力を使う

お米を洗う時間もきっちりと決められています。日本酒に詳しい方ははご存知かもしれませんが、取り扱うお米の精米歩合や特徴、気温、水温はもちろんその他様々な状況を鑑みてその時間を決定していきます。
私が担当したお米は18kg(6kgずつ3袋)でしたが、手で洗うその作業は予想以上に大変でした。この数量はとてもとても少量な方。
ですが、お米を何度も洗い、水切りをする工程は、シンプルに見えても集中力と体力を使う作業でした。そのどれもが、お酒の品質を左右する重要なステップであることを学びました。

経験を積むために

修行に臨む前、私は「どんな小さなことでも全部経験して帰る!」と決めていました。お酒造りの世界では、洗い物一つでも大事な経験です。特に未経験の私は、細かい作業も丁寧に教わりながら、とにかく全てを吸収しようと心がけました。

その中で一つ、印象的な「失敗」エピソードがあります。
それは、もろみをかき混ぜる櫂入れと呼ばれる工程での出来事でした。日本酒作りでは、タンクの中のもろみを一定の速度でかき混ぜて発酵を調整しますが、職人それぞれに担当するタンクが割り当てられています。私が作業中に、うっかり別の職人さんの木の棒に触れてしまったんです。その瞬間、師匠の木村さんに「触れてはいけない」と厳しく注意されました。

櫂入れ

職人の責任と覚悟

その時、私は単に「衛生面の観点から注意されてしまったのかな」と思いましたが、木村さんの言葉にはもっと深い意味がありました。お酒作りは、職人が自分の担当するタンクを最後まで責任を持って仕上げるもの。そこに他の人が気軽に手を出すことは、職人としての責任感に関わる問題だというのです。お酒作りは、単なる作業ではなく、自分の技術と覚悟を持って成し遂げるもの。職人としての誇りや責任を持っているからこそ、他者が介入することは許されない空気感がそこにはありました。

その時の経験は、私にとって大きな衝撃と学びになりました。技術を学ぶだけでなく、日本酒作りという文化を守り続ける職人たちの強い責任感や覚悟を間近で感じた瞬間でした。怒られた時はちょっと落ち込みましたが(笑)今ではその経験を通じて、日本酒の文化に対する理解と敬意が深まりました。

日本酒作りの地道な努力

日本酒と聞くと、ここ最近のイメージとして華やかなパッケージ等が思い浮かびますが、実際の酒造りの現場は派手さとは無縁です。全ては地道な手作業の積み重ねです。洗い物、温度や湿度の調整、櫂入れ作業、すべてが一本のお酒を造りあげる。それを目の当たりにして、職人の世界の厳しさと美しさを実感しました。

この修行を通じて、多くの経験を得ました。これから自分が目指すクラフトサケ造りの道は地道な努力の積み重ねである事が、4日間を通して肌で実感できました。不安も感じますが、それ以上に、これからどんなお酒を作れるのかというワクワク感もあります。次のステップに進むための決意はますます強くなりました。


今後も、こちらのnoteから沖縄のクラフトサケ造りの話を、定期的に綴っていこうと思います!
次回は醸造所設立を決めた場所を選んだ理由、現在の進捗状況や今後の方向性についてお話しようと考えています。

皆さんに沖縄の新しいお酒を楽しんでもらえる日を、心待ちにしています!

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