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精神壊れそうになった社畜おばさん、Vのライブに救われる[2]

続き

1人メンバーが卒業してしまうのだ。
にじさんじライバーでありRainDropsで活躍していた、めいじーちゃんこと童田明治ちゃんが4月末でにじさんじを卒業することになっていた。(これ書いてるの5月なのでもうしてしまった…寂しい…)
正直私はめいじーちゃんを熱心に追いかけていた訳じゃなかった。レイドロは追いかけていたけどめいじーちゃん自体は時々配信覗いたり、歌ってみた動画を聞いていたくらい。
歌が上手で明るくて面白くてかわいいな~くらいの浅い感想しか出ていなかった。だから卒業発表ももったいないな~くらいだったし、レイドロの6人ラストライブと聞いても「寂しくなるね」くらいだった。

なので卒業の話をされても、たとえライブでこれが最後の歌と言われても泣かないと思っていた。めいじーちゃんは面白くてかわいくて素敵な子だったけど、自分はそんなに熱心な大ファンというわけでは無かったし、歌が聞きたいなら買ったCDに彼女の声が存在する。いつでも聞ける。そう思っていた。


でもライブ2日目のアーカイブを見た日、我が家の居間にはタブレットの前でぐすぐす泣きながらライブを凝視するアラサーおばさんがいた。
私はただのファンだ。めいじーちゃんと直接話したことなんてもちろん無い一般人だ。彼女からしたら何万人もいるレイドロファンの有象無象の1人だ。なのにメンバーでもスタッフでも関係者でも何でもない女がこんな泣く?てくらいむせび泣いていた。

1日目は卒業の話もされなかったので、ただただ歌とパフォーマンスを楽しめた。エンターテイナーでテンション上がりまさかのアンノウンマザーグースで感動しみんなかっこいいー!!て心の中でペンライト振ってMCのわちゃわちゃぐだぐだ感ににやにやしてアンコールのVOLTAGEで一緒にアップライズ!!してオントロジーでレイドロちゃんサイコー!!と脳内で叫んで終わった。
2日目も途中までは卒業の話題も出なかったからこのままこれでめいじーちゃん見納めか~、くらいだった。


そんな風に油断していた時に来たのがあの曲「きこえ」だ。

「きこえ」はめいじーちゃんのソロ曲だ。
寂しげだけど芯の通ったきれいな歌声で歌われる、オリジナルのバラードだった。
この曲も正直アルバムで聞いていた時は綺麗な曲だなくらいにしか思っていなかった。
でもライブで聞いた「きこえ」はものすごかった。後にメンバーがそれぞれ語っていたが、それまで笑っていたメンバーたちでさえ、この曲を聞いて裏で泣きかけたらしい。

スクリーンに写し出される鮮やかな青空。その青を背景に「予報外れの空は青すぎる」と響く出だしの歌声。儚いような、それでいてすっと通った透明感のある声が、オレンジのペンライトの灯りに包まれた静かな会場に響いた。
声から青色が出てきたような出だしだった。
マジで青すぎる、予報外れの空が青すぎる。青すぎてまぶしい。もうここでそんな意味分からん感想とともに私は泣き出していた。

オタクおばさんが泣いていても曲は続く。
私は泣きながら一言ずつ、一音ずつ噛み締めるように聞いていた。

歩きながら寂しげに歌うめいじーちゃん。「もういいや」どこか投げやりな声から「もういいか」ほっとしたような、あきらめて笑ったような声。そしてずっと下げていた顔を上げてこちらをじっと見て「もう、いいの?」
よくねえよ~~~!!!!よくねえよ~~~!!!!!!卒業しないでよ~~~!!なんもよくねえよ~~~~~~~!!!!よくないんだよ~~!!

思わず心の中の厄介オタク私が泣き叫んでしまった。

ここでようやく私は童田明治という存在が卒業するということの重大さに気づいたのだ。こんなに寂しそうに、悲しく、でも美しく歌う存在がいたことの大きさ。そしてこの歌声が今後は聞けなくなってしまうことの重大さに気づいた。

遅いよ私!!気づくのが遅すぎたよ!!
もっと早く気づいていたら、もっともっと個人の配信も追ったり、もっとこのライブも真摯に聞いたのに!!

終ってしまう、6人のRainDropsが終ってしまうんだ、ステージ上で6人揃って見れるのは今日で終わりなんだ、とようやく気づいてしまった。

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