インタビュー/和苺(なごみいちご)
01.広大なビニールハウス
ハウスに入るとあまりの広さに思わず声が出るほどの光景が目の前に広がりました。
この広いハウスに隙間なく生える青々しい葉と、緑と赤い粒が満遍なく彩り、その光景に圧倒せざるを得ませんでした。
なんとこの画像の一列分で1日30kg分ほどの収穫ができるそうです。
晴れの日は太陽の光を浴びて一気に色付き、収穫した次の日には緑色だった粒もまた赤く染まり収穫が可能となるそうです。
東日本大震災をきっかけに設立された和の苺だからこそ、力強い生命力を発揮するのだろうと感じました。
現在、和苺でメインで出荷している苺が「もういっこ」。みなさんもこの名前を一度は見かけたことがあるのではないでしょうか。
もういっこは2008年に発売された宮城県オリジナル品種です。
甘みと酸味のバランスが絶妙で、その美味しさは大粒にも関わらず「もう一個!」と手を伸ばしたくなる魅力があると言います。
いちご狩りは行っておらず、契約出荷がメインとなるのでスーパーなどで見かけた際には是非手に取って自慢の味を確かめてみてください。
また、ナチュリノでも人気フレーバーのいちごシャーベットとして店頭及び通販サイトに並べておりますので是非ご賞味ください。
筆者もその大きな一粒をいただきました。柔らかく、みずみずしく、口の中に広がるさっぱりとした甘さは、ここでしか感じることのできない美味しさだと実感しました。
インタビュー中でしたのでさすがに「もう一個ください」とは言えませんでした。笑
02.苺作りの工夫
ハウスの中に入るとまんまるなフォルムが可愛らしい蜂が飛び回っていました。
聞くと「クロマルハナバチ」という種類の蜂。
人を襲うことは滅多にない大人しい性格の蜂だそうです。
迷い込んだわけではなく、意図的にこのハウス内で蜂を放ち、あるお手伝いをしてもらっているようです。
大きく美味しい苺を作るためには大切な作業があります。それが花の蜜や花粉を集めて受粉させること。
蜂がハウスの中の花から花へと飛び回って受粉交配を行い、美味しい実がなるのです。
外の世界では虫や鳥、風などで自然受粉が行われますがハウスの中では難しいため蜂にお手伝いをしてもらっています。
苺にはほとんど蜜がないため、餌を与えたり巣箱を清掃したりと管理が少々大変な面もあるようです。
葉の上にはおがくずのようなものが散りばめられていました。こちらは天敵製剤です。ハウス内が高温になるとアザミウマなどの害虫が付きやすくなり、新芽、花、果実などを加害します。加害部分が変色・萎縮したりし、苺の商品価値を低下させてしまうことがあるようです。
また、雨が降ると土壌pHが変わるため肥料の調整や管理が必要になってきます。適正なpH1値を把握することで苺の品質管理や安定供給の面で役立つのです。
「どうすれば和苺さんのような苺が作れますか?」と質問されることも多いようですが、『こういった細かな作業を、手間を惜しまずするかしないかで大きく変わる。それだけです。」と毎回答えているそうです。
当たり前のことをきちんとすることがいかに大切かを改めて感じることができました。
※pH(ペーハー)とは…水素イオン濃度の略称
03.苺農家さんの苦労
春でも日差しの強い日はハウスの中は30度超えることも。
灼熱の空間と化すハウスの中での作業はただでさ大変なのに、暑さによる弊害で増える作業があります。
暖かさが増すと苺の酸味が強くなり旨味の低下が起こります。
次々と開花する花やつぼみの高さを低く保つため「間引き作業(摘花)」が必要となります。
花やつぼみがたくさんできてしまうと養分が分散してしまい、果実に十分な栄養が行き渡らなくなってしまうため間引き作業が必要不可欠となるのです。ですが、広大なハウスのため一日一列終わらないことも多いようです。
収穫の時間は朝早くが一番良いとおっしゃっていました。理由は、気温が低い方が実がぎゅっと引き締まっていて美味しいから。高温になってくると苺がぶよぶよと柔らかくなってしまうそうです。
また、収穫スタッフの体調や作業効率を考慮し、収穫時間にもしっかり気を配っているそうです。
また、今回のインタビューで初めて知ったのが苺はバラ科ということ。ギザギザの葉の先やヘタの先には細かく小さな棘もあるのです。あの可愛らしい見た目からは想像もつきません。素手での作業は危ないためビニール手袋などをはめて作業するそうなのですが、暑い日の作業は想像を絶する大変さだと思います。これから苺を食べる際には、生産者さんたちの努力や苦労をしっかり噛み締めながらいただこうと思うのでした。
04.苺の出荷基準
苺の出荷基準は1〜5の段階に分けられています。
ヘタまで真っ赤に染まった苺が5となり柔らかく甘く美味しい苺なのだそうです。
ですが、この状態でスーパーに卸してしまうと、店頭に並ぶ頃には状態が悪くなってしまうことも多いのだとか。
ですから、スーパーには少し早めの3〜4程度の苺を卸すのが一般的なようです。
ナチュリノではなんと5または6の一番美味しい状態の真っ赤な苺を卸していただいています。
ナチュリノと和苺さんの畑が近く、また、今まで築け上げてきた信頼関係から熟した苺をいただくことができています。
そしてすぐにいただいた苺を加工し、店頭に出すことができるというとても幸運でありがたい関係を今も変わらず築けています。
宮城の農業を支える志や一粒一粒の苺にかける愛情、そんな和苺さんの想いを、ナチュリノはこれからもジェラートを通してお伝えしていけたらと思います。
ナチュリノでは和苺さんの苺を使用したジェラートを販売しております。
店頭、通販サイト、どちらにもございますので気になった方は是非お召し上がりください◎
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