ざわざわと見つけた朱色の免許証
昨年、お正月の家族団らんの中で、私は突然息子からの問いかけを受けた。「お母さん、俺の教員免許ある?」その問いに、私は何の迷いもなく答えた。
「卒業証書に挟まってんじゃないの?」と。
実際、我が家の二階の押し入れには、子どもたちの幼稚園から大学までのすべての証書やアルバムがしまってある。
その中に、次郎の朱色のカバーの卒業証書があるはずだった。
その後、家族でそのBOXを引っ張り出してみたが、朱色のカバーの卒業証書が、見当たらなかった。その他の卒業証書やアルバムは揃っているが、肝心の朱色のものだけが、ないのだ。
紺色の中に朱い色が一点だけあれば、絶対に見つかるだろうに。
次郎は「大学に連絡して再発行の手続きをする」と話は一旦落ち着いたが、その後も「もう一回、見よう」と、ゴールデンウィーク頃には再び探しに来た。
その時も、二人で探しに探したが、やはり見つからない。「だから早く学校に手配を!」と、もう諦めるしかないと思った。
そして突然の私の入院。そのことはすっかり忘れていた。
あれから1年8ケ月が経っている。
しかし、1週間前に感じた胸のざわざわが消えず、LINEで手続きの確認をした。
次郎は「まだしてないけど、オンラインで申請できるから大丈夫」と言ったが、なぜかその言葉にも違和感を感じた。結局、数日後に次郎から電話があり、手続きを進めることになったが、その後も何かが引っかかるような感覚が残った。
そして、今夜、次郎が突然やってきた。「お母さん、もう一回見てみよう。」3回目の探しで見つかるとは思えなかったが、次郎の強い言葉に押されて再び押し入れからBOXを出してみた。
「あるやん!朱色!これじゃない???!」と、次郎が歓声を上げた。
なんと、朱色のカバーが出てきたのだ。
「免許は?」「あったーー!これだ!!」と、隣のファイルに免許や取得した資格の証書が並んでいるのを見つけた。
3度目の正直とはこのことだろうか?2回も見逃したものが、どうして3回目で見つかったのか。
まるで狐につままれたような、不思議な感覚だ。
1週間前のざわざわや、次郎の「もう一回見てみようよ」という言葉には、何か見えない力が働いていたのだろうか?
この出来事を振り返ってみると、心のざわざわや直感のようなものが、何か重要なことを知らせてくれていたように思う。私たちは日常の中で小さなサインや直感を見逃しがちだが、時にはそれが大切な何かを見つける手がかりになるのかもしれない。
私が次郎の免許証を探し続けた理由は、単に母親としての心配だけでなく、何かもっと深い感覚に導かれていたのかもしれない。ふとした心の動きやざわざわした感覚が、実は大きな意味を持つことがあるのだと、この出来事を通じて強く感じた。
見えない力に導かれたかのような、そんな不思議な体験だった。
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