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ベッドシーン
「『瑠璃色の情事』シーン6のカメラテストですが、魁晴子さん演じる行方佐久子役は助監督の亀蔵君が代りに。そして、知山登役は黒山猛さん本人が演じます。普段なら簡単なカメラの位置確認で終了なのですが、今回は人気アイドルグループを脱退して本格的に女優として活動開始する魁晴子さんの初のベッドシーンです。当たり前ですが、魁晴子さんは清純派アイドルでしたのでペットシーンなんかしたことありません。それどころか事務所によると男女交際の経験すらないそうです。だから今回はカメラテストと共に魁晴子さんにベッドシーンのレクチャーします!亀蔵君、魁さん演ずる行方佐久子になり切ってベッドシーンを熱演してください。黒山さん、貴方はベッドシーンに定評のある役者です。亀蔵君を魁さんだと思って本気で演じてください。そして魁さん、あなたは二人の演技からベッドシーンのなんたるかを学んでください」
監督の説明を聞いて清純派アイドルの魁晴子は頬を赤く染め、ベッドシーンに定評のある黒山猛は不敵にニヤリと微笑んだ。そして助監督の亀蔵はカメラテストとはいえ、人気俳優の黒山猛の相手役を務めるプレッシャーで緊張してしまった。そんな亀蔵に黒山は
「大丈夫っすよ!俺に任せて。でもあなたが監督になったら逆に俺が身を任せますけどね!」
と言って笑わせた。
そんな二人をよそにアイドルの魁晴子は椅子に座ったまま、ライトで白く光るベッドを震える眼差しで見つめている。黒山はそんな晴子を安心させようと肩を叩き「今からペットシーン見せてやるから安心しろ」と声をかけた。そしてビクッとした晴子をよそに亀蔵と二人でベッドへと向かっていく。
「あなたなんか大嫌いよ!」
と台本通り亀蔵が魁晴子風の言い回しで言った。何年も助監督をやっているだけあってなかなかの演技である。
「ふん、大嫌いだからなんなんだよ。大嫌いならなんで俺のマンションきたんだよ!」
と言いながら黒山は行方佐久子役の亀蔵ににじり寄っていく。さすがの演技である。さすが長年人気俳優として活動してるだけあって相手が男だろうが全然平気だ。
行方佐久子役の亀蔵はたまらず逃げようとする。しかし知山登役の黒山は逃がさない。行方佐久子役の亀蔵を後ろから羽交い締めして、亀蔵の首筋に熱い息を吹きかける。その熱い息の愛撫に感じてしまった行方佐久子役の亀蔵はなんと下半身をボッキさせてしまったのだ。それカメラのモニターで見た魁晴子は「キャー!」と叫んで目を塞いだ。しかしこれも勉強だと覚悟しゆっくり目を開けた。
目を開けると自分が演じる行方佐久子役の亀蔵と黒山はすでに裸になっていた。
亀蔵は両手を胸の辺りにクロスさせドキドキしながら黒川を待っている。高まる鼓動は抑えられない。彼は上に乗っかっている黒山を見て声にならないほどのか細い声で役のセリフを呟く。
「私初めてなの……」
黒山は「そんな事だろうと思ったゼ!」と行方佐久子役の亀蔵キスして、覆い被さった。
突然「アアーッ!」と亀蔵が絶叫したので一同駆け寄ると、亀蔵と黒山が激しく交わっているではないか!撮影スタッフは「お前らなんで本番ヤってんだよ!早く抜けよ!」と二人を離そうとするが、二人は熱く繋がったまま離れない。黒山は「ウォー!」と吠えながら亀蔵を熱く責め、亀蔵は黒山の思いに応えるように首を振りながら必死に喘いでいる。その一部始終を全て見た魁晴子はこう叫んだ。
「こんなベッドシーン嫌だ!」