妊娠物語3

妊娠…堕落論 第4章 その4

僕は目を閉じて息を深く吸い込み、カッと目を開きバカ女を睨みつけて言いました。

「僕がオマエの誘惑に屈すると思ったか!オマエがどんなにサル子さんを貶めることを言おうとも僕の想いは変わらない!オマエの彼氏がサル子さんと過去に何があろうがそんなものどうだっていい!いや、彼女の過去に何があろうが僕にはどうだっていいんだ!僕にとってのサル子さんは、僕が知っているサル子さんだ!いつも優しく声をかけてくれ、毎日カバンに哲学の本を詰め込んで、昼休みに公園のトイレに駆け込んで読書に浸るような、そんな知的で純粋で美しいモナリザのような人なんだ!だからこれ以上彼女の名前を出してサル子さんを汚すことはもうやめてくれ!……オマエも彼氏がいるのだろう。僕は今夜のことは一切口外しない。だからオマエも今夜のことは忘れてこれからは彼氏と誠実に付き合え!僕は正直言って今夜のことはお前に感謝している。僕のサル子さんへの愛が、どんな誘惑にも屈しない強いものだったことが確認できた!僕はこれからも一生サル子さんを愛し続ける!だからオマエも今の男を大事にしろ!一生を添い遂げる覚悟で付き合え!わかったか!」

僕はバカ女に言ってやりました。どんな苦難にも負けず、サル子さん、貴女を愛し続けることを。そしてこのバカ女に向かって、自分に恋人がいるのにもかかわらず、僕に恥知らずなことをしたことを悔い改めるよう説教をしてやりました。僕が説教をしている間女は黙ってうつむいていました。僕は女の殊勝な態度にさすがにこの女も反省したのだろう、まさか僕のサル子さんへの愛がこんなに強いものだったとは思わなかったのだろう、もしかしたら謝罪したいのかもしれないとしれないと思いながら、先程までの出来事を洗い落とすかのように吹き出ていたシャワーを止めた時でした。突然バカ女が肩を震わせてゲラゲラ笑いだしたのです。

「ギャハハハハハハハハハ!バッカじゃないの!サル子が純真だってさ!いや~立派だよ!キミ、そこまでサル子が好きなんだ!あの女が頭がいいってのはたしかだよ!いい大学出てるしさ!だけど、アレのどこが純真なモナリザなのよ!キミはどこの平行世界の話をしてるのよ!」


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