ヌードビーチ
猿だってビーチで泳ぎたくなる時がある。そんな気持ちで三億年前の雄雌のサルはビーチへと向かった。二匹は群れから離れて二匹だけで真夏の海を泳ぎたかった。そして泳いだ後で激しく交尾をしたかった。彼らはウキーと喚きながら海で泳ぎ、そして情熱的に交尾しまくった。そうして二匹は毎日海でファックしまくっていたが、二匹は自分たちの毛が抜けて地肌が剥き出しになってしまっていることに気づいた。これはサルの群れ社会において大変なことであった。毛が頭と股の間にしかない二匹はたちまちのうちに群れから追い出されてしまった。二人の親猿でさえウキーと牙を剥いて二匹に飛びかかった。二匹は群れから飛び出して放浪の旅に出かけた。群れから追い出された二匹は別の群れの猿からもウキーと嫌われた。毛のない自分たちは猿ではないのか。二匹は海なんかでファックするんじゃなかったと後悔したが、だが二匹はそれでもファックの欲望に負けてしまったのだ。猿には交尾期があり、その時期以外は交尾をしないものだが、二匹は情欲のままにのべつまくなしにファックしまくった。雄は雌に潤んだ目で愛の遠吠えをしてファックをせがみ、雌は雄を迎え入れるためにゆっくりとケツを上げた。しかし夏は終わりすぐに冬がやってきた。雄は死んだ獣から皮を剥ぎ取って雌に分け与えた。雌は雄に寄り添って二人で体を温めた。しかし抱き合うだけでは耐えられるような寒さではない。雄は近くの草原ご火事で燃えているのを見た。雌は火に怯えて雄に逃げるように吠えたが雄はそれでもずっと立っていた。暖かい。雄は目の前に広がる火の海にウキーとそう感じていた。雄は住処に火を持って帰りたいと思った。雄は木の枝を見つけた。そしてそれを火の中に突っ込んだ。
それが人間の始まりであった。この毎日海で全身の毛が抜けるほどファックしまくっていたのが我らが祖先である。彼らこそ我々人類のアダムとイブであり、火をもたらしたプロメテウスであった。彼らは子に恵まれ毛なし猿の群れを作ったが、毛なし猿はいつの間にか猿より上に立ちいつしか人類と呼ばれるようになった。
さて、その三億年後のとある動物園である。アダムとイブの末裔たるとある現代人の男女は遥か昔に別れた遠い親戚の猿を見ていた。女はサルが自分たちが持っている餌目当てに芸をするのに大はしゃぎして男に向かって早く餌をやるように言った。男は餌をやろうとしたが突然引っ込めて猿に芸をする様に言った。ああ!この猿は今どんな気持ちで人間に媚を売って餌をねだっているのか。あの三億年前の昔にただ海でファックしほうけていたバカ猿の子孫に、まじめにしきたりを守ってサバンナぬ引っ込んでいた自分たちが揶揄われているなんて!しかしそう悔しがってもしょうがなかった。彼らは生きるためになりふり構っていられなかった。だから彼らはお尻を突き出してくるりと回転してニッコリするのだった。