【物語】ぼやけない君
色とりどりの屋台に、オシャレをした人が屋台に並ぶ。あちこちから美味しい匂いがする。
お祭り、最終日の夜。
僕の最大の楽しみである、花火大会が始まる。
僕は幼なじみの手を引いて、1番いい席に案内する。そこにも、チラホラ人がいた。たくさんの人の中を駆け抜けて、お気に入りスポットにたどり着く。
幼なじみの彼女は、写真を撮るのが好きだ。今日もお気に入りのカメラを持ってきていた。花火に向けて、彼女がカメラを準備する。
昨日、花火を見に行こうと君を誘ったのは、僕。写真が大好きな彼女に、自分が大好きな花火を見せてあげたかった。お祭り会場で待ち合わせして、二人で屋台を見回った。
花火が上がる前に、僕たちは準備を終えた。
大好きな花火が始まる。
僕はドキドキしながら、その時を待つ。
ピュー、、、、、、、、ドン!!!
───花火大会が始まった。
ヒューッ、、、、、、、ドーンドーン!!
花火の匂いがする。
空はこれでもかと言うほど眩い。
白、青、黄色、赤、ピンクの花が夜空に咲く。
時折、生き物も空に舞い上がる。
美しい光が空に写る度、お気に入りのカメラを構えて、花火に見入る君。時折見える彼女の目は、花火を写してキラキラ輝いている。僕が大好きな花火が、君も気に入ってくれて嬉しい。
嬉しいんだけど、、、
ピュー、、、、、、、、ドン!!!
大好きな花火に、どうしても集中出来ない。
こんなにもカラフルで、
大きな音が鳴っていて、
大好きなはずの花火が、
見れない。
ピュー、、、、、、、、ドン!
席の問題じゃない。
ここでも十分、花火は見れる。
何より、人はいるが前の席が相手いないわけじゃないのだ。行こうと思えば前の席にも行ける。
ピュー、、、、、、、、ドンドン
でも、僕の目には、大好きな花火が霞んで見える。いつも目に焼きつけるように見ている花火が、背景のようにぼんやりとしか映らない。
どくどくと心臓の音がする。
周りの人も、大好きな花火さえも、今の僕には焦点が合わない。
あれ?
あれれ?
花火はぼやけるのに、
どうして君だけはっきりみえるの?
君の横顔に、花火が咲いた。