![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160776458/rectangle_large_type_2_4964cc325dd3bbb24bdab4f15aaa67ba.jpg?width=1200)
【俳句】秋、おとづ(ず)れる
「ぽーほけきょ」「?」ちょっと違うねことりさん
【ちょっと違う物語】
やっと銀杏が黄色くなった。
今や文化遺産になりかけている木造校舎の入り口。
そこに大きな銀杏が一本立っている。
その銀杏が、それはそれは見事に黄色に染まっていた。
よかった。
私は安心した。
周りの銀杏は色づいているのに、この銀杏だけ黄色くならなくて、心配していたのだ。
3連休明けの今日。色づいていないかな、と思って早く登校してきた。
朝の学活が始まるまで、まだ時間がある。
綺麗な黄色の葉を見つけて、しおりにしよう。
私は、銀杏の木の下で、「しおりっぽい葉」探しを始めた。
ぎんなんの独特なにおいがする。
日差しが強くなってきた。
家を出た時着ていたパーカー。だんだん暑くて邪魔になってきた。
一度パーカーを脱ごう。
そう思ってランドセルをおろして上を向いたとき、変な声が聞こえた。
「ぽーほけきょ」
「?」
ちょっと違うねことりさん。
どこにいるのかと思って木を探したら、銀杏の枝の間に小さなことりさんがいた。
この声は春によく聞く気がするのだけど、秋にもいるんだなあ。
でも、へたくそだ。
私は、こう返した。
「ほーほけきょ!」
ことりさんが首をかしげる。
「ほーほけきょ!!!」
私は大きな声で言った。
ことりさんはびっくりして飛び立っていってしまった。
その拍子に、一枚の銀杏の葉が落ちてきた。
空中で右、左に動くそれを私はキャッチした。
虫食いもなく、鮮やかな黄色の葉は、しおりにぴったりだ。
私はこれを、ことりさんのプレゼントだと思って受け取った。
いいなと思ったら応援しよう!
![勿忘草(わすれなぐさ)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/156569457/profile_3fbacdc14dea65eef733d523c9f14e9d.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)