85 どうする家康 古沢良太 作
家康。
秀吉の物語を堪能した後は家康だろ!
ってなり、本当は司馬遼太郎の「覇王の家」を読もうと思ったんですが、Xで「どうする家康」を勧められて、偶然店で見かけたので購入しました。
全4巻のうちの1巻だけですが。
〜〜個人的な見どころ〜〜
①脳内画像
こちらの最大の特徴が、家康が松潤ってことです。
今までで家康のイメージは正直たぬき親父だ!と思われます。
ただ、「影武者 徳川家康」って作品があり、それが漫画になったんですね。有名な傾奇者の「前田慶次」を描いた漫画。
『花の慶次 -雲のかなたに-』原作は隆慶一郎、作画は原哲夫。これと同じ原作、作画ですよね。
その漫画の徳川家康は確かにカッコよかったですよね。
それが今回、この作品では松潤なんですよね。
家康の描写が出てくるたびに、松潤が浮かんできます。
そうなると今までの家康のイメージ行動が変わって見えてくるんですよね。
それを考えると、やっぱり人は見た目が10割なんだなぁと、何かこうしみじみと思います。
秀吉を最近推してるんですけれども、秀吉も何かね。誰だろう。二宮くんあたりが演じてくれれば大分変わるのかもしれませんね。ただ、秀吉にいたっては、史実でも「猿」「猿」の連発だから、イメージの変更は難しいのかもしれないんですけれどもね。
②どうする?と運
さて、改めて内容なんですけれども、家康の幼少期からの生活を丹念に追っています。
家康という、大体どんな人生を歩んでいるか、ある程度明らかになっている人物。
なので、みんな俯瞰では理解しているんですね。
何年に信長と同盟した!とか。
何年に信玄にボロクソにやられた!とか。
そんななか、どれだけ具体的に生活を追うか。
また、どれだけ分岐点があったか。
って視点で書かれてるんですね。
その時々の家康の立場もわかりやすく書かれていてよかったんですけれども、本当に毎回難しい立場に追いやられているなと改めてしみじみ思います。
コミカルに描かれているのかもしれないんですけれども、部下にしても何にしても親しみやすくて今川のイメージもそんなに悪くはないんじゃないかと思っています。
実際はこんな爽やかというようなものではないとは思うんですが。
③人質
序盤のテーマは人質でした。
家康自身も人質でして。
そこから逃れることができるのかどうか。
で、結果的にその立場から逃れることができたかと思いきや、今度は家族ですね。
家族が人質になり、離れ離れになってしまった家族をどう取り戻すか?
っていうのが課題になっていきます。
改めて具体的に人質という立場を描いています。
なるほど、改めて具体的に描かれると思いますが、人質って過酷ですよね。
そもそも、家康も人質で、下手をすれば殺されていてもおかしくなかったわけですよね。
人質の所有者?変わったようですが、本来、所有者変わるってのがなかなかなくて。
この作品では、殺されるところを信長が助けたってお話になってるようです。
史実かどうかは微妙ですが。
でも、天下人たちの奇跡のような運の良さを考えると、そういうこともあるかもですね。
で、家康の妻も今川家の人質で、家康は今川家を裏切る事になるので、いつ殺されてもおかしくない状況に陥ります。
実際、似たような立場の人質が処刑されちゃいます。
今の世の中。人質って、頭でわかっていてもピンとこないし、ドラマとかだと、大体助けられることが多いので深刻さを見落としがちですが。
実際にリアルに考えると、この時代の人質は恐ろしいですよね。ある程度の行動の自由はありそうですが、さすがにお目付け役はいただろうし、いつどうなるかわからないってところを考えると…。
まるで、今でいうところの死刑囚に近いかもしれません。
結局、無事に釈放の可能性もありますが、戦国の世の中ですからね…。
それくらいの過酷さをこの本を通じて感じました。
〜〜まとめ、雑記〜〜
そう。人質。
戦国時代の本を久しぶりに読んでいく上で、これが重要な役割を果たしていたことがわかります。
前回の秀吉の本でも感じました。
・戦争を手っ取り早く終わらせる。
・何らかの決着をつける。
・体裁を保つ。
それにはこの方法が一番と判断したんでしょうね。
考えれば、秀吉の天下。
最後の最後は家康がどうでるか?
ってところに集約されるんですが、
そこで秀吉は自分の母親を実質人質に差し出すことで家康が折れるって形になります。
これも恐らく、家康自身が人質の何たるかを骨身に染みて知っていて、それが故に秀吉のこの行動の凄まじさを感じとったから折れざるを得なかったんでしょうね。
そのあたりの秀吉の決断。
それこそ「どうする秀吉」ですよね。
恐らく、この辺りもこの作品に今後登場するとは思いますが、どんな形で触れられるのか、楽しみですね。
この辺りの人質文化。
江戸時代の参勤交代で妻子を江戸に住まわせるのも、人質っちゃ人質だったりして。
色々根が深いなって何となく思います。
色々金銭的な理由から、2巻以降読めるかどうかわかりませんが、楽しく面白い1巻でした。
では、また。