別れの握手に道を阻まれる
駅の通路を人の流れに沿って歩いていた。
私の前には、にこやかに談笑しながら歩く2人の紳士。
「それじゃ、私はここで」
一人が自分の乗るホームへ上がろうと挨拶をした。
それに応えて「今日はありがとう、また」と右手を差し出す紳士。
少し照れくさそうに、でも嬉しそうに、最初の紳士も手も出してがっちり握手。
…急に私の歩くルートが握手のゴールテープに向かう形になってしまった。
すぐ終わるかと思いきや、それで気持ちがまた盛り上がってしまったようで
「本当に今日はありがとう」
「うん、今度またよろしく」
とがっちり握手が続き完全に道を阻まれてしまったので、邪魔をしないよう一人あたふたと迂回ルートをとったのだった。