ぽと梟 10首連作
ぽと梟 こうさき初夏
「私は詩そのものである」梟が語る時代はいつごろだらう
ぽつと鳴かなくなる梟は現在下腹部上にをります
ふくらんでゆく梟の胎内はふくらふくらと詩情を集め
ぽつ ぽつぽと梟が鳴いてゐたよと吟遊詩人(バード)啼き ぽつ
梟のつつくピーナツ奪ふ父 ポォーーポーーポォーーーーー
身一つの夜間飛行へ旅立てば月が二つに見えて、梟
ぽ ぽ ぽぽ 梟ふくふく「通行手形を」 ぽ ぽ ぽぽ
旧姓の印鑑くはへた梟と真夏の夜にかはす密約
昨日より目を見開いた梟の小さな眠り羽根を休める
目をとぢて夢に落ちれば明日にはわたしの知らないぽと梟が