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香り:占い師の日記

なんだか画材に凝り始めたり、
少し、線の描き方を変えてみたり、
家にいる時間が増えた。
そもそもこの暴力的な日光に焼かれるつもりもなく、
いつも蛍の時間帯に外に出ては大概のお店は終わっている。

それでも私を引っ張り出してくれる友はいて、
洋食のランチと濃いラテをご一緒して、
いつもはぶらりと散歩するのだが、
今日は隠れ家的なあるお店を紹介した。
誰にも隠していないけれど、なかなか訪れることができない場所。
香りのお店。

友は本格的な文筆家で、
執筆の際は塗香(お香を肌につけるもの)をつけると言う。
こちらのお店は香水やポプリなど舶来のものがメインだが、
全てオリジナルの調合である。
私はここの、ある作品と、
某所で自作したライチと薔薇がベースの香りを使っている。

友と行った日は、ポプリを買った。
名前の知らない薬草のようなきつい香りが、
鼻腔を刺激して自分ではなく頭脳が目覚める。
言語野から雑草を抜いてくれるような、
そもそも虫除けの効果がある「タイム」というハーブが使われている。

香りは結局、
まるで筆跡のように、語調のように、化粧の後の顔のように、
後天的に得た自分の全てを表すように思う。
生来の自分やオリジナリティはむしろ隠し、
「どうやって生きてきたか」だけを魅せる。

いつか調香の資格も取ってみたい。
あれは、講座でどうにかなるのだろうか。

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