高校数学を深ぼるメモ#1 多項式(整式)
「多項式」と「整式」は同じ意味とし、ここでは「多項式」で統一する。
多項式の定義を以下に記す。
以下のような式を考える。
$${a_nx^n + a_{n-1}x^{n-1} + \cdots + a_2x^2 + a_0}$$
この式は以下のようにも書ける。
$${\sum_{k=0}^{n} a_kx^k}$$
このような「有限個」の「非負整数冪の $${x}$$」の「和」で表される式を ($${x}$$ を不定元とする1変数の)多項式(polynomial)という。
以下詳細
$${x}$$:不定元(indeterminate)、変数(variable)
多項式を「関数」として考える場合は $${x}$$ のことを、範囲(実数など)を定めて任意の値を代入できる「変数」と呼ぶことになる。
そうではなくただ多項式定義する段階では $${x}$$ は不定元と呼ばれ、抽象的対象(値をとるなどといったことを考えずに、ただ代数的操作を行うための形式的な記号)として考える(つまり考えない)。ゆえにこの場合「$${x}$$ の範囲」などという話にはならない。
文脈、ニュアンスの問題であり、$${x}$$ をどちらと捉えようと多項式で行う操作が変わるわけではない。
不定元と呼ぶ方が多項式そのもののトピックにおいては適切な気がするが、以降は馴染みのある「変数」の方で呼んでいく。
$${a_0,a_1,a_2,\dots,a_n}$$:係数(coefficient)
添えられたそれぞれの変数冪($${x^k}$$)をスカラー倍する定数(constant)
係数が属する集合を意識すること。多項式において各 $${a_k}$$ はその集合の中から取り出し固定された要素(定数)とみなす。高校数学の場合は暗黙的に実数集合か。
掛け合わされる変数冪($${x^0}$$)が常に1である $${a_0}$$ は変数に依存しない項であり、「定数項(constant term)」と呼ばれる。
次数(degree)について
変数 $${x}$$ の最も高い冪指数を(その係数は0でない前提のもと)その多項式の「次数」という。全ての係数 $${a_k}$$ が0である場合(つまり多項式が0そのものの場合)、次数は定義しない。
上記の多項式であれば、その次数は($${a_n \neq 0}$$ という前提のもと)$${n}$$ である。
補足:「単項式」について
「単項式」は多項式の特定のケース(項が1つの多項式)の呼び名である。
使い分けを厳密に決めたい場合は以下のように感じになるだろうか。
「式全体」について言及するときは項の数が1であろうと複数であろうと、「多項式」と呼ぶ。
多項式の構成要素として個々の項を「式」と意識する際は、それを「単項式」と呼ぶ。