【戦国武将討死列伝(自害・刑死アリ)】⑭柴田勝家
列伝其の十四『柴田勝家<シバタカツイエ>』
(1583年)上様に猿だの禿ネズミだの言われていた『羽柴秀吉<ハシバヒデッヨシ>』に賤ヶ岳における戦いに敗れ北ノ庄城に儂は追い込まれていた。
「お市様、子らを連れて落ち延びてくだされ。」
「なりませぬ。子らは落ち延びさせまするが二度も夫が自害して果てる時に生き永らえるのは御免こうむります!共に黄泉の国へ参りましょう。」
「儂の力が及ばず申し訳なかった。」
「瓶割<カメワリ>柴田と恐れられたあなたがその様な軟弱なことを口にしては…」
ほんの少しの会話ではあったがお市様ではなく我妻『市』として見られるようになった。それなのにその市を儂と共に死なせなければならぬのは慙愧の念に堪えない。
「儂は秀吉!貴様を呪うぞ。貴様が天下を欲しいままにしようが貴様の家は必ず滅ぶ!貴様に織田信長公の御遺志を継ぐことなど出来ぬわ!」
「お先に参ります。」
市は喉を一息に突き息絶えた。
「儂もこれまで!上様、今参ります。」
『柴田勝家』自害