🔰はじめてのエアロフォン(Aerophone) ／経験値ゼロから6か月の軌跡

2024年3月16日 23:02

Rolandの電子楽器エアロフォンを買いました。仕事の合間をぬって細々と練習し続けること半年、今や生活の一部になりつつあって楽しいです。

もともとエアロフォンはおろかサックスも全然吹いたことがないのに、思い切って買ってしまって大丈夫なのかという心配は多少ありましたが、全然大丈夫でした。

今回は、購入の経緯、未経験者が覗き見して感じたこの世界の面白さ、実際に練習している曲などを中心に、否、この半年分の経験全部盛りでレポします。

購入検討～決定までの話

さかのぼること20年、ピアノと合唱しか知らなかった中学生なりたてほやほやぴよぴよの私は、新入生向け部活紹介で吹奏楽部がこの曲を演奏しているのを見て衝撃を受けた。ソロ楽器はアルトサックス。こんなかっこいい曲がこの世にあるんや、絶対吹奏楽部入ろ、と。
吹奏楽部は様々な楽器で成り立っているが、そのなかでぴよぴよ中学1年生の知っている楽器はほんの一部だ。1年生は入部届と同時に希望楽器を3つまで書かされるが、人気は偏るから希望通りにならない場合が多いということは聞いていた。特に私の第一希望サックスは激戦区。周りにはテナーサックス、アルトサックス、バリトンサックスで第三希望まで埋めた猛者もいたが、自分にはそれはできなかった。そしてやっぱりこの時点で出会った楽器は、サックスを含めて第三希望までに書いたどの楽器でもなかった。
だからエアロフォンにあこがれていたというよりは、サックスとこの曲に20年もの間あこがれを拗らせていたという方が正しい。

大学に入ってアカペラに長い寄り道をしたのち、社会人になってカラオケバーやライブで吹くタイプの電子楽器を見かけるようになった。その映えと自由さはすごかった。身体上の制約とかも考えて、「ひょっとしたらチャレンジできるうちにやってみたほうがいいのでは？」と思うようになった。

興味を持って電子楽器を調べているうちに、各社が出しているいろんな商品の中でもRolandから出ているAerophone（エアロフォン）が気になり始める。プロ仕様のAE-30はかっこいいけど何しろ超初心者にはオーバースペック。AE-10、GOは幅広部分の面積が大きくてエイっぽい見た目なのがちょっとかわいすぎる。miniは笛っぽい。ということで、AE-30とほぼ見た目が変わらず、超初心者でもがっつり楽しめるだけの充実した機能を持つAE-20がよさそう、という結論に。

ちなみに、調べながらわかった電子楽器のいいところ。

いろんな音色が選べる。このボディからは想像もつかないがティンパニの音とか出せるらしい。素敵やん。
ヘッドホンやイヤホンで聞ける。つまり家でも音量を気にせず練習できる。
楽器といえば6桁後半～のイメージ。憧れだけを原動力にして思い切るのはさすがに厳しい。それに比べるとエアロフォンは10万円ちょいだからまあまあリーズナブル。
地味に家電が好き。いいところ…ではないか。

という感じになるだろう。

そしてこの時点でこの動画を見てしまい、勝手に盛り上がる。

買うまでの話

持ち方すらわからないので独学は多分無理と判断。楽器の購入と一緒にレッスンが受けられるところも検討開始。そんな状態でよく買おうと思ったな。
音楽教室のお試しレッスンに行ってみた。吹いてみて楽しいか、ある程度続けられそうか、続けたときに上達したところが思い描けるか…？みたいなことを考えながら受けた。ちなみにすごく楽しかったのでレッスン継続を即決。以降月2ペースで通う。
楽器を買わずその都度借りてレッスンを受けるということも可能なのだが、結局月2でレッスンを入れても、その間に練習できないと意味がないというあたりまえな結論に至ってしまい、レッスンから一瞬遅れて楽器の購入を決断。

楽器が家にやってきた

楽器は購入してその場で現物をお持ち帰り。当日手に入れた面々は以下の通りでした。

楽器本体
カラーバリエーションは何種類かある中で一番控えめなメタリックのものを選択。…一番控えめなメタリックとは？

ACアダプタ
家電の生命線。電池でも駆動するが、本番ドンピシャで電池切れになるなどの悲劇もあるらしく、電源常時供給が安定。コードはあまり長くない。

マウスピース
吹き口。消耗品、本体から取り外し可能。サックスと違ってリードがマウスピースと一体になっていてリガチャーはない。保管するときは本体から取り外してアルコールスプレーを吹きかけたティッシュで拭き、乾燥させてからしまう。水洗いもする。この方法で合っているかは謎。
演奏するときは、上側は直接上の前歯で噛んで固定し、下側は唇を巻き込むようにして下の前歯で間接的に噛む。つまり歯並びが均一でない人は噛み跡により如実にそれを痛感するシステム。サックスでは噛み跡がつかないように貼るシールもあるが、音の響きが変わるので避ける人もいるとか。

マウスピースキャップ
楽器を保管するときにマウスピース部分にかぶせる。軽い「カチッ」という音がしたらOK。一度かなり堅めに突っ込んでしまい、マウスピースが抜けなくなって相当焦ったのでよい子のみなさんはまねしないでください。

ネックストラップ
ひのきのぼう的な標準装備のペラペラストラップ。楽器を安定させるために使う。これを首にかけ、フックにエアロフォンの裏側の輪っか状の部分をひっかけて、マウスピース部分がぴったり口の高さになるよう調節する。なお、楽器メーカー謹製の首が痛くならないがっちり固定可能なイケイケストラップもこの世には存在するが、お値段はググって知るべし。

取扱説明書
パッと見分厚くてビビるが8か国語対応のせい。中身はそんなに多くない。
運指表がF5までしか載っていないので、フラジオ音域（とても高い音域）はGOの運指表をネットで調べてプリントアウトして使っています。

楽器ケース
これさえ背負っていれば音楽スタジオに入るのがサマになりそうな、Rolandのロゴがでっかく書かれた細身の直方体のケース。吹奏楽時代にこの大きさでこの形状のケース見たことないな…と思ったけど、ソプラノサックスのケースがこんな感じらしい。ちなみに、エアロフォンは上管下管に分割することはできない。

サムフックカバー
分厚さの違うものが2つ入っているので、手の大きさに合うほうを使う。たまに練習中にボコッとはずれるのでびっくりする。

ウォータープロテクター（水受け）
楽器の中を通った息が水滴として楽器下部からポタポタと出ていくので、それを受けるためのカバー。これがないと家のフローリングはビシャビシャになる。そういえば吹奏楽時代は右ひざの上にハンカチ置いたりしてた。フィット感はゆるめ。

バンド
マウスピース部分から漏れた水がキィの隙間に入らないようにするため、楽器の上部に装着するバンド。めちゃめちゃ細めで幅広のリストバンドという感じ。けっこう早い段階で糸はほつれてくる。

この他に購入・調達したものは以下のとおり。

ヘッドホン。家の電子ピアノ用のヘッドホンを使い回している。PHONE端子は太細2種類に対応。

USB-C（オス）⇔USB-B（オス）のコードとUSBメモリ。アプデ（後述）に必要。USBメモリで全部済めばいいのに。

PC（後述）

ヤマハのクッションシール。左手人差し指の付け根で押すキーのうち、個人的にはDキー（最も自分に近い側のキー）が前後の音によってはかなり押しにくい。サックスだと一般的な対処法はなんと「キーを盛ること」で、コルクを何層にも貼ってから手の形にあわせて削ることもあるそうだ。
コルク職人にはなれないので、代替品として使うのがクッションシール。これをDキーの形にあわせてちまちまと切って貼っている。ただこれでも微妙に高さが足りず、重ね張りをしたいのだが、楽器と接しない側の接着力が皆無に等しいので悩み中、と思っていたら、すでに貼ったシールがはがれてきてもう二枚目を貼る破目になってしまった。

メトロノームアプリ。Bluetoothでスマホからエアロフォンに音を飛ばして、楽器の音色ごと聴くことができる。楽器からメトロノームの音がするって新鮮。というかチューナーもメトロノームも録音も参考音源聴くのも全部スマホひとつでできるなんて、20年前からしたらもう隔世の感はんぱない。

楽譜（後述）。先生はタブレット派。

その他、適宜筆記用具、ティッシュ・アルコールスプレー等。

…予想はしていたけどグッズが多い。他にも譜面台とか楽器スタンドとか、あったら楽というものはいろいろある。

ゼロ歩目のつまずき

vs絶対音感

サックスはトランスポーズ（移調）有りの楽器。アルトはEs管。つまり、アルトサックスの楽譜を開き、「ド」という音符を見て、「ド」の運指で息を吹き込むと、「ミ♭」の音が出る。私はもともと絶対音感なので、これがものすごくキツい。音の高さと名前は一対一対応、ガチガチの音名派・固定ド過激派として三十余年生きてきた。

実はエアロフォンでは各音色に音階が設定されている。例えば、アルトサックスの音色を選ぶと自動的にトランスポーズが+3（＝Es管）になる仕様になっている。これを手動でトランスポーズなしに直して、C管として吹くこともできなくはない。そこで思い切って「C管で吹きたいんですけど」と相談するも、世のサックスの楽譜は移調前提で書いてあり、C管で吹ける楽譜は選択肢が狭いという指摘を受けて、あっさり断念。

このあっさりの代償として、あの手この手の自己流トレーニングを挟みつつ練習することにした。

絶対音感を克服するためにやってみたこと

ハミングで適当に声を出す→その音のまま階名を発音する。ボイトレの発声練習に発想を得た方法。シ♭の高さで、「hmmーソー」のように。慣れてきたらハミングの長さを短くする。
童謡を実音変ホ長調にずらし、階名で歌う。「赤とんぼ」や「ぞうさん」のようにちょいちょい跳躍があるやつは割と難しい。音が跳ぶたびに音名に戻るのでもはや面白い。
スケールを練習するときに頭の中できちんと階名を歌う。頭の中が音名になっていたら吹けていてもやり直し。「ミファソラシドレ・・・あっ違うドレミファソラシ」みたいな感じ。
街中で聞こえてきた音を変ホ長調の階名で再構成する。東西線茅場町駅中野行の発車サイン音なんて毎日聞いてるのに内声がぐっちゃぐちゃ。
とにかくエチュード（練習曲）をやる。楽譜を見ながら音源を聴いて、ドレミ・・・という階名を介在させずに、記譜と聞こえる音を結びつける。ただし、暗譜で吹くのに慣れるといつの間にか頭の中が実音になっているので注意。
いろいろやってみたけど、結局はインストラクターの先生に言われた「あまり考えすぎないで流れに任せる」が一番いい対処法なのかもしれない。
いろいろやってみたけど、移動ドに慣れてきたというより、あらたに「ミ♭」の音に「ド」という名前を貼り換えているだけな気もして、今の時点では音感がなおったかというとまだなんともいえない。

カルチャーショックあれこれ

新たな趣味を始めるとその周辺の文化も経験するし、日常生活何もかもが違く見えてくる。おそらく楽器を現役で吹き続けている人からしたら「は？」みたいなことでも、未経験者の身で新鮮に感じたことはいくつもある。

楽器がスペースとる問題。朝は仕事用カバンと楽器ケースを両手で抱えて満員の通勤電車に押し込まれ、夜はレッスン前に寄るカフェで通路席に座るお客さんにコーヒーをぶちまけそうになる。それでもエアロフォンは持ち運べる楽器としてはかなり軽量・小型な部類に入るからこれくらいは生ぬるい経験なんだろう。とりあえず会社のロッカーが縦長で助かった。
大学時代、アカペラサークルに入っていたころは、「アカペラって手ぶらでできるのがいいんですよ～」とか極めて軽いノリで喧伝していたが、今なら言えるぞ。「ほんまそれ」。
楽譜という出費。下に挙げる『ヴァカンス』の楽譜だと、収録1曲・全4ページで数千円するので驚いた。思い返せばサークル時代、必要な楽譜を買うことはほとんどなくて、大体は先輩や同期にデータでもらうか、自分たちで書いていた（いわゆる耳コピ、または耳コピにアレンジを加えたもの）。現在J-POPを中心にボーカルも習っているが、こちらはそもそも楽譜すら使わず、課題曲を決めたらひたすら聴き込んで練習するスタイルなのでそれと比べるとなお驚き（と出費）は大きい。
それだけクラシックの世界は緻密につくられたものを忠実に再現することに価値があり、だからこそ長い時間守られ受け継がれていくのだろうと思う。小さいころ買ってもらっていたピアノの教則本も、いま音楽教室で手に取ればいいお値段するのが初めてわかった。つくづく親に感謝。
エアロフォンは電子楽器なので、なんとソフトウェアのアップデートが必要。バージョン〇〇．〇からは裏側の小さな液晶に新しいアイコンが表示されるようになった、なんてこともあった。アプデのときは、まずPCにインストーラを入れておき、コードやらUSBメモリやらをあれこれしてエアロフォンをPCに接続する。つまり自分の家のPCが壊れたり、サポートが終わったら、エアロフォンはずっと旧バージョンのままという可能性がある（※有償サポートに頼ることもできるそうだ）。

Esキィを左手にください（切実）

今取り組んでいる教則本・曲など

ラクール　第1巻

初めて買った教則本。とりあえず右も左もわかんないので昔先輩に借りて練習してたヒンケみたいな練習曲いっぱいのやつをやってみたいです、と相談し、これから始めることに決定。短いエチュードが載っていて、少しずつ難易度が上がります。現在練習中の5番は↓こんな感じ。

最初に1番をやり、その後2、3、5と少し飛ばして練習していて、全部網羅するというよりは曲調をみつつ必要な曲だけやっていこうということになっている。この数の並びに「素数ですか」と言ったら先生がちょっと笑っていた。次が8番だが「フィボナッチ数列ですか」とはもう言わないでおこうと思う。

新版サクソフォーンのためのトレーニング・ブック

全部の長調・短調の音階が載っていてひたすら基礎練するのに使う。3Dバンドブックのように調ごとにエモいコラールが載っている、とかはない。
サックスの音階練習は2オクターブ半の①「ドレミファソラシド」に加え、②「ドレミファレミファソミファソラ」③「ドミレファミソファラ」④「ドファレソミラファシ」と⑤アルペジオ3種。
現在進捗としてはハ長調とイ短調で①～⑤が終わり、全部の調の①を吹けるようになるよう路線変更※。その場で「はいじゃあ嬰ヘ長調」と言われたときにさらっと嬰ヘ長調のスケールを吹けるようになるのが目標。

※この記事を書き始めて1か月が経過し、今はC、F、B、Es、Asまで来た。

ダマーズ『ヴァカンス』

ピアノとアルトサックスのための作品。同じメロディーが調を変えて何度も現れるキラキラとした場面転換が素敵。いくつかおすすめしてもらったはじめての候補曲の中で、ファーストインプレッションでこれを選択。

明るさとアンニュイさがあるこのヴァカンスの舞台はきっと南仏のどこかだけど、日本に無理やり当てはめるならどこだろう。暖かいけどヤシの木が生えるほどトロピカルでは決してなくて、都会ではないけどJRは通ってて、昔の街並みがあり、時折劇的に視界が開ける感じの高低差のある小さな町で…と考えるとピンポイントで尾道が思い浮かんだ。高台から視界に入るのがもう少し気持ち海多めだとなお良しな気がする。私の地元も同じ瀬戸内だけど海との高低差がなさすぎて駅即砂浜ｧｧかつずっと砂浜のターンで深刻なエスプリ不足。

アルルの女より『間奏曲』

数少ないクラシックのサックスの曲でド定番中のド定番。

この曲は前述の青いトレーニングブックの中に載っていて、難易度も今の自分に合っていた。音の強弱がかなり急激に変化するところがあるのと、高い音を決してキツい音にしないというのがネック。
持ち曲として、いつでもパッと吹けるようにしておきたい。

展覧会の絵より『古城』

これがやりたかった。クラシックに出てくる数少ないアルトサックスの曲のひとつ、そして、私が大好きな曲。

私はサックス争奪戦に敗れた結果オーボエという楽器を高校1年の冬まで3年ほど吹いていたので基本的にその後の人生はダブルリード楽器びいきで、古城もこのイングリッシュホルン版の土埃感がたまらなく好きだったのだが、いろんな音源を聴いて改めてアルトサックスの豊かでつややかな音色の良さに気づき始めた。

ヴァカンスと間奏曲がひと段落ついたタイミングでちょうど古城とこのアレンジ本をすすめてもらい、うわーこれだと思って楽譜を購入。

この曲集は1台のピアノと1本のサックスのために編曲されたもの。アレンジに遊び心があって華やか。アドリブっぽいところもきちんと音符に落としこまれていて、吹いてみると「あ、こういうことをするとそんな音が出るのね・・・」と面白い。

ただもちろん吹くほうはやっぱり大変。3'13"くらいから出てくるアルペジオをメトロノームかけて細々と練習しています。
でもなあこの曲好きなんだよなあ。ピアノパートも練習したらいつか全部俺ができるかもっていう野望があるし。

完全に余談だけど、自分の好きな曲調は「劇的な変化がなくややもすると気だるい」「和音が暗くて美しい」「リズムに乗ってるだけで心地いい」で、古城は完璧にこれにあてはまるなと思った。ベースのパターンや和音が最低限の変化しかない中で細かくおいしい要素が詰まってるファンクやR&B、ジャズが好きな今に多分つながっている。

あえて同じ調しばりで挙げてみたがどうだろう（この音源のAbilityの調はGだけど私がアカペラでやったときはA♭だったので自分の中ではA♭の曲扱い）。J-POPだと限りなくサビとメロの落差が小さい曲がいい。劇的な展開なんて要らんかったんや。
皆さんの中ではこれらと古城は同じカテゴリに入るだろうか。

総括、そして楽器を買った本当の理由

一体何でここまでしてエアロフォンを真面目にというか超正攻法で練習しているのか。トランスポーズなんて妥協すりゃいいんだし、特に発表会の予定もないんだから難しい曲にあえてチャレンジしなくてもいい。それは、好きな曲を演奏するということ自体がとにかく楽しいし、ささやかな上達にも自分で感動してしまえるからだろう。
冒頭で「身体上の制約」と書いたが、私は進行性の難聴で1,000Hz以上の高い音があまり聴こえず、これからもさらに聴こえなくなっていくと予想されている。補聴器がないと日本語でも話すことが難しい場合が多い。アカペラの余韻でボイトレには通い続けているにもかかわらず、かなり最近まで、自分はもう決して昔のように音楽を楽しむことはなく、いわんやマイ楽器なんて絶対買うことはないだろうと思っていた。大人の趣味としてオーボエに再挑戦しなかったのは値段の高さもあるけど、数ある楽器の中でもオーボエの音色がもうほとんど聞こえないから（おそらく倍音特性のため）だ。他の楽器をイチから始めるのは投資対効果や練習環境を考えるとちょっとハードルが高すぎる。
そんなプチ絶望がエアロフォンの存在で当面は消えた。自分が聞こえる音色と音域が選べる。誰の邪魔にもならず、自分に合った音量で聴いて練習することができる。なんとか手の届くお値段。
ありがとうエアロフォン。自分にも楽しめる音楽の世界がまだ確かに存在した。

「あなたは7年後難聴の診断を受けます」って中学1年生の自分が知ったらショックを受けてしまうと思うけど、「でも20年後サックスの電子楽器にチャレンジしてなんか楽しそうに吹いてます」って聞いたらさらに驚くんじゃないだろうか。

音楽ができるのは残りの人生で今しかないかもしれず、その今もいつまで続くかはわからない。でも今確かに楽しいなら、それがすべてだと思う。