見出し画像

MOTHER2をクリアした話

MOTHER2をようやくクリアした。
ラスボスはステータス面では楽勝だったが、そこに至るまでは非常に厳しかった。

主人公は自分の名前。
ポーラ、ジェフ、プーは彼女や友達の名前から捩って名前を付けた。

話は大分逸れるのだが、先日実家に帰った際に両親が結婚30周年を迎える事を聞いた。
実家は隣駅ぐらいの距離感だけど家を離れて少し時間が経っているので、あまりホーム感は無くなっている。

母は真面目な話をし始めて、妹と俺に「ここまで元気に育ってくれてありがとう」と礼を述べてきた。

20代になりたての頃は、自分の事よりも妹の方が好きだろうなあという卑屈モードに入った時期があって家を早く離れたい気持ちの方が強かった。
母親は厳しいし、何より親父は今でも死ぬ程怖い。親父には怒られるたび、良い年して部屋でエンエン泣いた事もあった。

それでも恥ずかしながらたまに実家が恋しくなる時がある。
帰る必要は無いのに、色々理由をつけて帰っている。

両親の結婚記念日の話を聞いた時、僕は恥ずかしくて誤魔化した。

「まだまだそんな締めに入る歳じゃないでしょうよ」

何故か両親が遠くに行ってしまう気がして、咄嗟に変な言葉が出てしまった。
母親はそれでもお礼の言葉を続けて、更には俺が誕生日に送ったウイスキーの小瓶セットを未だに飲まないでいると聞いた。

「意外と可愛い所あるんだな!」

言葉に出しながらも、どこか心の奥がむず痒かった。痒さを堪えるのに必死で、あまり覚えていない。

MOTHER2の話に戻る。
道中で出会うキャラクターはみな印象に残っていて、特に子どもの頃に抱いた大人感そのものの人たちが多い。

良い大人もいれば、出会って早々の子どもに対して「無知で教養のないガキ」呼ばわりするその辺のおじさんもいる。
優しいのは主人公の周り(ポーキーの家族は除く)ぐらいな気がする。
良い大人もいれば、嫌な大人もいるバランス感がとても心地よくて、コミカルなテキストも読んでて楽しいのでクリアに時間がかかった。

主人公(自分の名前)は物語の途中で何度もホームシックになる。
いざ、というときに限ってだ。
目の前に異星人やらゲロのバケモンと戦ってるときに「チキンカレーが食べたくなった」と攻撃しなくなる。

僕は「なにやってんだよ」とぼやきながら、定期的に仲間を引き連れて共に実家のオネットへ帰る。
好物のチキンカレーを皆で食べて、また冒険を始める。たまに寄り道をしてあえてハンバーガーを買ってみたり、ポーラに突然いのちのうどんを食わせたりする奇行に走る。そんな旅が楽しくて、もう一人の自分と自分の大事な人たちと冒険している様な没入感だった。
プレイする日が楽しくて仕方なかった。
些細な行動がどれも絵になるようだった。

物語の後半になると徐々に敵の攻勢も増してきて、あるタイミングでホームシックを自然と克服する。
克服するまでの道中で生まれた時の過去の回想が流れるのだが、自分の親の言葉がフラッシュバックして自然に泣いてしまった。

ラスボスは不気味な存在だ。
初めは主人公の顔を鏡で写した様なフォルムで、その後は実態のない異形がゆらゆらと動き続けている。

ラスボスとポーキー(隣家のガキ)

流石に有名だから知っていたけど実際にプレイするとトラウマになる見た目とセリフの数々だった。
自分やポーラが何度もバットやフライパンでぶん殴っても倒せない。スーパーバズーカもPKスターストームも効かない。
ギーグには何も効かなかった。

挙句主人公の名前を呼び続け、「キモチイイ」などと言い出す始末。

もう意味が訳わからない。
さっきまで近所の悪ガキをとっちめたり、デカい恐竜追っかけてたのに。どせいさんのリボンを付けたポーラ(実際は彼女の名前)がフライパンでSMAAAASH!!!!を連発しても倒せない。(怒涛の連発すぎて笑ってしまった)

そんなギーグに対して、ギャンブル感覚で使っては散々痛い目を見ていた「いのる」コマンドが、旅の途中出会った人々や家族そして自分に伝わった。

プレイヤーの僕自身、ただただ淡々とボタンを押すしかなかった。確かに僕もまたMOTHER2の世界を救った一人になった。

戦いに勝った!!!

けど寂しさの方が強かった。
ポーは爽やかにPKサヨナラ!でお別れ。
ジェフは「君たちが結婚したら電気製品の修理は任せろ」などと言って離脱。
リアルに友達と別れるときの様な寂しさを出さないで欲しい。早く四人で川崎で飲もうよ(?)

あっさりお別れしていく中、ポーラを自宅に送る事に。

こうなったら家までの要所要所を歩き回ってやるという気持ちになり、とりあえずセーブをする。
セーブで何度も電話したパパにいつもの様に電話をかけると優しい言葉を投げかけられた。

『いつも、冒険の記録をつけていたけれど
 お前に直接いろんな話を聞きたいよ。
 電話の声もちょっと大人っぽくなったけど…
 きっと大きくなったんだろうなぁ。
 …じゃ、今度は家でゆっくりな。バーイ!』

パパのセリフから抜粋

またしても泣かせてくる。
糸井重里はとんでもない人だ。
「エンディングまで泣くんじゃない」って無理があるだろ。

そして沢山寄り道して、ポーラを幼稚園に送り届けて実家のオネットに帰った。

ヘッダーの写真は、スカラビでの帰り道の写真だ。突然降りてきた天才写真家に笑うしかなかった。

MOTHER2よ、最後まで笑いと涙をありがとう。
良い年して実家に帰りたくなったら素直に帰って、たまにはチキンカレーをリクエストしてみようと思えた。

また、10年後ぐらいにもう一度やる。
本当に最高のゲームだ!

いいなと思ったら応援しよう!