君のはじめての365日
いつの間にか、母になっていた。
白くて分厚いマットの上に無造作に散らばる色とりどりの絵本たちを拾い上げては近くの棚に押し込みながら、ふと気がつく。
妊娠検査薬の色を角度を変えながら確認したあの日でも、無機質な部屋で見慣れない機械に囲まれながら娘が産声を上げたあの日でも、娘が初めて重いお尻と肩をえいやとひねり、やっと同じ向きで顔を見合わせたあの日でもない。
一歳を迎えた娘が、まだ頼りない足取りで歩き回った部屋中の痕跡を少しずつ薄くしていく午後八時のその時間に、母になった自分に