夜8時発の特急に乗る。翌朝の会議に出席するための前乗り。1月は積雪も多く、鉄道の運行は心強い。新得駅で札幌行きに乗車すると、間もなく動き出した。窓外は、車内の明りが積雪を次々に流れるように映していく。自販機で買った熱い缶コーヒーを飲むと、温かさが身を包んでくれる。車内の暖房もあり、ホッと一息つき、間もなく心地よさでウトウト。広内信号場はもう過ぎたのだろうか。上り坂はまだ続くのだろうか。列車は軋み揺れながらも逞しく前進している。やがて目的地なのか、見知らぬ何処に誘われるのか混沌とし、不覚の空間をただひたすらに駆け抜けていくようだった‥‥。
突然の警笛で我に返った。列車は徐行していた。窓外を見ると、6、7名の男が、黄色のヘルメットに作業服姿で線路のそばに立っているところを明りが通り過ぎた。列車を見上げていた、極寒の夜の山中で。冬期間に鉄道の運休や遅れがないように、路線を守っている人たちだと分かった。やがて列車は加速した。列車が通り過ぎたあとも保守点検を続けているのだろうか。いまさらながらのことに思い至る。世の中のどこを見ても、そのようなことなのだと。