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義弟と口論 On the Street②〜日本特有のマインドなのかも?「相手の立場に立って考える」


【前回のつづき】

M「えっ!?なんで!?」



驚いたことに、彼は私の腸が煮えくり返っていることに全く気付いていなかったのだ。


日本人は特に顔色を伺う人種で、「空気を読む」のが上手い。


「言わなくてもわかるでしょ」と期待しているところがある。


私ははっきりと言葉で伝えるタイプだが、それでもまさかまったく気付いてないとは思わなかった。




「No」と言われてからずっと私の顔は笑っておらず、もしかしたら般若のような顔をしていたかもしれないくらいの心境だった。



これは筋金入りのひょっとこ野郎だ(なんだそれ)。



私「あんたさ、第一声何て言ったか覚えてる?


たった一言、真顔で”No”よ?」



M「それの何がいけないの?」





( ゚д゚ )!!?





あかん、これはパートナーのレベルを遥かに超えてる。


こんなんもう、ポッポとフリーザーくらいのレベル差。



パートナーも感情を汲む力が相当弱く「は!?」と思うことがあってよく喧嘩したが、この一言でMはレベチだと悟った。




私「私もパートナーも、ロンドンに来てるあなたに楽しんでほしくて色々と好みを考えながら場所を探してるのね(ここだけでなく、数日間)。


私たちはロンドンに住んでるからいつでも来られるけど、Mが気に入るかなと思うところを提案して、確認してもらった上でここに来たよね?


それを、たった一言真顔で”No”って言える神経が私にはまったくわからない。


人として軽蔑するレベルだわ。」



するとM、

「じゃあ何て言えばよかったの?」





( ゚д゚)いい加減にしろよ?





私「なんで私があなたのベストアンサーまで提案しないといけないわけ?

なんで私がこんなに怒ってるか自分で考えてみなさいよ!!」




この辺から、私はだんだんヒートアップしてきた。


はじめは静かに諭すように話していたが、このあまりにも噛み合わない感情のちぐはぐ感と、ロボットと話していると錯覚するほどの機械的な感じに耐えられなくなった。


イタリア人顔負けのジェスチャーを混じえて、ロボット VS 人 のような口論がしばらく続いた。



そうだそうそう。


イタリア人と付き合っていた頃、私たちはこれでもかというくらい熱い喧嘩を繰り広げていたことを思い出した。


私のジェスチャーも声も大きかったが、彼には到底敵わなかった。


言い合っているうちに、彼のジェスチャーがあまりにもド派手でまるでアニメのキャラみたいで私が「ぷっ」となりながら続け、そのうち怒っているのが辛くなり私が爆笑すると向こうも笑顔になり喧嘩を終えることがあった。


思えばあれは、私の理想の喧嘩の仕方だったのかもしれない(遠い目)。



今目の前にいるこの義弟との口論は、とてもそんな平和に終わらなさそうだ。



そもそも、なぜ私がはじめからヒートアップしなかったかというと、パートナーが公の場での口論を酷く嫌う性格だからだ。


私は「その時の感情」を生き物として扱いたいので、街中だろうだどこだろうが関係なく、最優先事項は「二人の世界、感情」だ。


しかし、彼は人の目をとにかく気にする(かっこつけなところがかなりある)。


公の場ではスマートに振る舞っていたいので、そのことで何度も言い合いになった(「私の感情も大事にしてよ!!」的なやつ)。


ま、相手が嫌がることは極力したくないというのはあるので、公の場ではちょっと気をつけるようになった。




ふと隣を見ると、パートナーの顔が相当険しい。


そして信じられないことに、ワイヤレスイヤホンをつけはじめたのだ。






ぽっかーんどっかーん( ゚д゚ )






ちょ!!!!


なにやってんねん、「我、関せず」的なやつヤメロや!!!




私がブチギレてる原因明らかにわかってるヤロガーーーーーーい


説明シロヤーーーーーーい


あんたの弟とあんたのパートナーが派手な口論してるんやから、間に入ってなんかシロヤーーーーーーーい




ぜーはーぜーはー( ゚д゚ )




パートナー「続けるんだったらどうぞ続けて、俺は帰る」









おん!!!!!?( ゚д゚ )








私「ちょ、なあ?


俺関係ないみたいなそれなんなん??


あなたの弟と私が真隣で口論してんのになんなんなんのつもりなん??


あなたもあの時一緒にいたんやから状況わかってるやん、兄やったら間に入って説明するとかなんかしたら??


そんで私ももちろん帰るわ!!!!!」



そういえば謎に二人が決めたインディアンレストランに向かっている途中だったことをこの時思い出した。


遂に私はパートナーにもブチギレる羽目になったのだ。



このスーパーおはなしにならないブラザーズと共に改札をくぐり、電車で家を目指した。



電車の中でMと私は隣に座り、先程からの口論をひたすら続けた。


黙っていたくなかったのは、まだ滞在期間もあり一緒に過ごす義弟とわだかまりがある状態で取り繕いたくなかったからだ。


怒りの感情に蓋をして、何事もなかったかのように過ごす意味なんて何もないと思った。


知り合いじゃあるまいし。




私「私たちは人種も生まれ育った環境もなにもかも違う、だからこそお互いの文化や背景について知っていくべきだと思う。


私はギリシャの家族と何度も過ごして、その中で知ったことがたくさんあった。


でもあなたはまだ日本に来たことがないから、私が生まれ育った文化や背景がわからないのは当たり前だと思う。


私から見ると、さっきのあなたはあまりにも失礼で冷酷で、人の気持ちがまったく理解できない自分勝手な人だと心底思って軽蔑した。


もし、あなたが逆の立場だったらどう思うか想像したことある?」



さっきの全ヒートアップ量の3割くらいが我関せずのパートナーに向かったので、Mに対して少し落ち着いて話せるようになった。



M「もし逆の立場だったら…まって、今想像してみる。


あ、うん、もし俺がNatsumiで、俺に同じように言われても”あ、そっか、じゃ別のところ行こうか”ってなると思う。」







なるほど。

たしかにギリシャ人ってそういうあっさりしている人が多い。


これもまた、「人の意見を尊重する」と言えるんだなと、別の角度から物事を見せてもらったような気がした。


恥ずかしながら、私の中の「普通こうでしょ」という、今まで生きてきて染み付いた常識のようなものに囚われすぎていたのかもしれない。



私「そっか、あなただったらそうなのね。


これは性格かもしれないし日本特有の考え方なのかもしれないのだけれど、私は”相手が私のためを思ってしてくれた行為”に感謝をするのね。


でも自分はそのしてくれたことが好みじゃないとする。


さっきの”なんて言えばよかったの?”に答えるとしたら、『調べて提案してくれてありがとう、でもごめんね、でも私は◯◯だから△△にしたいと思うんだけどどうかな?』とかかな。


あなたはごめんねもありがとうもなく、ただ真顔で”No”って言ったでしょ?


あなたにとっては普通の回答かもしれないけど、私にとっては不快でしかなかった。


私の中ではこれ、人間関係でとても大事なことだと思ってるから黙っていられなかった。」


そう伝えたのだった。



私も結局エゴをぶつけるような形でブチギレ、大人気なかったなと思っている。


しかし長い付き合いを考えるなら、この人間関係で一番大切な”礼節”がない人とは精神レベルが合わず関係を続けるのは難しいだろう。



私が考える「家族」と、ギリシャ人が考える「家族」は本当に違うなと思う。


でも、「されて不快なこと」はまぁいいかでスルーなどせず、お互いに知っておいたほうがいいと思うのだ。




電車を降りて家まで歩く間に、私たちは和解した。

一応”義姉として”おさまるところにおさめた。



「この話をせずにいたら、100000%ずっとあなたのことを憎んでたわ」


と私が言うと、


「え!?憎む!!?このことで!!?


俺、今までの警察官人生で一度も人を憎んだことないのに!!!(彼はポリスマン)」


と言って笑っていた。


あのときの私にとっちゃ、それくらい失礼すぎる奴だった。



「世界中たくさんの人がいる中であなたが私の義弟になったのも何か強烈な縁だし、仲直りってことでハグしとこ!」


と、まだワイヤレスイヤホンをしているパートナーの隣で私たちはハグでこの口論をシメたのだった。




彼が「我、関せず」を極めているのは、私たちの意見両方を尊重したいがためだと思う。


フラットな立ち位置を好み、どちらも大事でどちらにもつきたくないからこうなるのだ。


彼はそういう人だ。




はぁ、もう疲れたぜロジカルブラザーズたちよ。




この一件以降、Mは以前と比べて私に対してソフトになった。


ギリシャに帰り義両親に「Natsumiのホスピタリティ精神はすごい!ずっと俺を気にかけてくれた」とご機嫌で話してくれていたそうだ。


私の想いがどこまで伝わっているかはわからないが、少なくともしっかりぶつかって話し合ってよかったと思う。



「何も言わなくても察してほしい」は甘えだということを、特に海外に出てからは常に思っている。


言葉に出してしっかり伝えて、クリーンな心で付き合えてこその人間関係だ。



久々にブチギレることになったが、私は基本的にハッピーバイブスの平和主義者だ。



これからも”礼節”がお互いに持てる(こう書くと堅苦しいが、「親しき仲にも礼儀あり」「ありがとうとごめんねが当たり前のように言える」関係をさす)、気持ちの良い人間関係を周りの人と築いていきたい。

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Natsumi🇬🇧
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