【波照間島に住んでみた思い出①】はじめまして、鍵のないボロ小屋!今日からここが私のお家。
私は2019年末〜2020年4月まで、波照間島に住んでいた。
その数年前に2度ほど一人旅で訪れたのだが、あまりにも美しい海と島の雰囲気の波照間島に魅了された。
長年続けた仕事を辞め、仲の良い友人が石垣島に住んでいたのでしばらく滞在させてもらい、八重山の離島巡りをしていたのだった。
特にこの波照間島ではたくさんの良い出会いがあり、今でも会ったり連絡を取り合う人たちがいる。
それからというもの、いつか何かの機会があれば住んでみたいなと思っていたのだった。
2019年11月、那覇に遊びに行った時のこと。
コンビニでコーヒーが出来上がるのを待っている間に、隣にあった求人誌をなんとなく開いた。
適当にパッと開いたページに載っていたのがなんと、あの憧れていた波照間島での求人だった。
無料の寮付きで、4月頃まで製糖会社で働けるとの事。
「これだ!」と思った。
旅から帰って電話をしてみると、人数が不足しているらしく早くいつでも来てくださいとの事だった。
きたよきたよ〜スムーズな流れ!
私はすぐにスーツケースに荷物を詰め込み、憧れの波照間島へ向かったのだった。
波照間島は、日本最南端の有人島。
石垣島から高速船で約1時間。
宿に迎えに来てくれた方に連れられて行ったのは、日本むかし話に出てきそうな古びた一軒家。
「ここが女子寮だよ」
( ゚д゚ )!!!?
築年数…何十年だろう??
明日にでも「解体しますね〜」と誰かが来ても驚かないほど古びている。
そして驚くことに、
玄関にカギがない。
玄関と言っても、古びた木製の引き戸のみ。
「え!?防犯的に大丈夫なんですか!?」
と尋ねると、
「Hahaha〜
この島には犯罪者なんていないさ〜!」
と彼らは呑気に笑っていた。
ほほう…
どうやら私は、アナザーワールドに住むことになったようだ。
中には畳の部屋がいくつかあり、最大5名が一緒に住めるという。
私が来た時点で1人既に入居していたTちゃんが、これから私のハウスメイトになるのだ。
ぐるっと家の中を探索したが、これぞTHE 田舎のおばあちゃんの家、
いや、
ひぃひぃおばあちゃんの家
に来たような雰囲気だ。
「どこでも好きな部屋選んでいいよ」
と言われたが、畳ってふすまで仕切るだけでプライベートないし!!!
私が悩まずに即答したのは、唯一フローリングだった一番狭い部屋(体感3〜4畳程度)。
エアコンもあるしドアもある。
そして何より、
窓がない!!
この、窓がないのが最大の決め手だった。
沖縄大好きな私だが、唯一悩ましいのが虫だ。
私は昔から
虫が大の苦手。
以前小浜島でコテージのような場所に泊まった時。
一匹のヤモリが部屋に現れ眠れず、真夜中に管理人さんを起こしに行き真剣な顔をして「お願いします捕まえてください!!」と懇願し困らせたことがある。
この女子寮とやらは、どう考えても虫と共存コースだ。
畳の部屋、特に窓のある部屋なんぞを選んだ日にゃ、ありとあらゆる虫が出て寝不足になっちまう!!!
…と恐怖におののき、一番安全そうな(ドアで”密閉”できる)フローリングの部屋を選んだのだった。
私は、ありとあらゆる「隙間」をガムテープで塞いだ(ドアの下など)。
そして、フローリングを隅々まで拭いた。
この部屋は、外にあるトイレとお風呂に行くために開ける引き戸の真隣にある。
少しでも隙間があったら奴らは簡単に侵入してくる。
ここに住むことになった以上、今できる最大の努力をすべし!!
私は腹を括ったのだった。
ハウスメイトのTちゃんと対面し、しばらく2人生活が始まった。
朝から晩までどころか、24時間ほとんど一緒に過ごす仲間だ。
何より、虫が出た時には一番に頼ることになる大事な人だ(そこほんとに大事!)。
万が一何かあっても、Tちゃんがきっとどうにかしてく…
「なっちゃん、虫平気!?
私、虫が世界でいちばん無理なんだよね!!!」
ちーん( ゚д゚ )
Tちゃんも虫が無理なんてあんまりだっっ!!!
これは想定外だぞどうする〜(Tちゃんも同じ気持ちだっただろう)。
「こうなったら、2人で協力して戦うしかないね!!」
ルームメイトの称号のみならず、虫と戦闘同盟まで組むことになったのだ。
[つづく]