【グラストンベリーひとり旅⑦】まるで隠れ家のような愛のチャペル。私の中にある、じんわりあたたかい「女性性」の存在。
宿のオーナーに、ホワイトスプリングでの素晴らしすぎる体験を語っていた時。
「私が大好きなチャペルを紹介するわ。
もう何十年も前に私がグラストンベリーに来た時、一人でそこへ行ってずっと泣いていたの。
自分の内側とはっきり”繋がった”という感覚を、そこで初めて知ったの。
大きな愛で包んでくれるような、あたたかい場所よ。」
そう懐かしい表情で私に教えてくれたチャペルへ足を運ぶことにした。
そういえば、と、チャーチとチャペルの違いについて調べてみた。
一般的にはチャーチは「教会の建物」を表し、チャペルは「礼拝堂」を表すとのこと。
イギリス国内ではこれに限らず、チャペルはイギリス国教会以外のプロテスタントの教会を意味するらしい。
彼女が「隠れているから見つけてみてね」と言っていたように、そのチャペルはちょっぴり見つけにくい場所にあった。
ハイストリートの沿線上にある道沿いに、小さな看板がある。
「ここで合ってるのかな?」
とクエスチョンマークを頭に描きながら、細い道を通る。
へぇ〜!こんなところに!
と、見つけた喜びを味わえる隠れ家のよう。
小さなグリーンのガーデンがあり、その横にいくつかの部屋がある。
それらを横目に更に奥に進んで行くと、
こんな優しい絵に出会った。
その反対側の先にはプライベートと書かれていて行き止まりだ。
おや?
メインのチャペルはどこにあるのかな?
とウロウロしていると、ここを管理していると思われる女性に出会った。
尋ねると、
「目の前にあるここがチャペルよ」
と、ちょうど進行方向の目の前にある建物を差して教えてくれた。
入ってきた所からちょうど左側のやや死角になっているところにあるのと、扉が控えめで気付かなかったようだ。
お礼を言ってチャペルの中に入ると、両脇に10席少々ある椅子が満席になるほどの人がいた。
私が入ったと同時に、一斉に視線を感じる。
一番手前にいた一人の男性が、にっこり笑ってくれた。
小さなチャペルでこんなに一度に人が集まっているのは見たことがなく、一瞬圧倒された。
それと同時に何人かが離席し空いたので、私はその一つに腰かけた。
ドーム型の天井+壁が白、天井が青で、ギリシャを思い出した。
正面に小さな細長い窓のようなものがある。
そのすぐ下に、十字架とピンク色の花。
Mary Magdaleneとは、マグダラのマリア、もしくはマグダレンと呼ばれ、イエス・キリストに従った聖女とのこと。
調べると諸説あり(歴史にありがち)、どれが正しい説明と信じるかは人によると思う。
ひとつ言えることは、彼女は献身的な愛でサポートしたということだ。
「女性性」と一括りに言っても色々あるが、受容する、内側から溢れる母性のような包み込む愛と私は言えると思う。
グラストンベリーは至る所にこのマグダレンのシンボルがある。
当時、彼女がしばらくの間ここグラストンベリーに身を置いていたという話もあり、この地とは深い繋がりがあるそうだ。
しばらく、その静寂の中に身を委ねた。
同じ空間に人がいるのに、その静寂はとても深かった。
しばらく目を閉じていたが、
「そろそろ閉めます」
と、先程の女性が閉館時間を知らせに来た。
また明日、早めの時間にゆっくり来ようと心に決め外に出ると、さっきにっこり笑顔をくれた男性に話しかけられた。
「君、もしかして韓国人?」
丸顔の私は海外で中国人か台湾人には間違えられることはあるのだが、韓国人と言われたのはなかなか新鮮だった。
そういえば、グラストンベリーに着いてからアジア人をほとんど見ていない。
ロンドンでは毎日のように見るので、これは珍しい日々だ。
「いいえ、私は日本人!」
と答えると、男性はあ〜!と笑いながら、
「僕はアメリカ人なんだけど、すごく仲良しの韓国人の友人がいてね。
このチャペルに来てからなぜかずっとその友人のことを思い出してたんだ。
そしたら君が入ってきてさ!
”わ!これはすごいシンクロだ!!”と思って思わず話しかけたんだよ!」
と語ってくれた。
たしかに、アジア人を思い出している最中に突然アジア人入ってきたらおぉ〜!!!ってなるよなと共感した。
そして、ああ私が韓国人だったらこの男性もっとすっげすっげー!!!って感動しただろうな、などと、日本人でなんかちょっぴりごめんね!と内心感じたのだった。笑
翌日、改めて再びここを訪れた。
昨日は満席状態だったけど、この日はなんと私一人だけの貸し切り状態。
神様みたいな人から、
「しっかり自分と向き合いなさい」
と、特別なギフトをいただいたような思いだった。
道路から少し離れているので、中心地にありながらとても静かなチャペル。
両手を合わせしばらく目を閉じて瞑想していた。
なぜだろう、ふと「母の胎内にいる時の記憶のようなもの」を思い出した。
いや、具体的にこんなことを思い出したというわけではないのだが、まるでここは子宮の中にいた時のようだ、と強く感じたのである。
そして、
「もうすでに、ここにある。」
というメッセージが降ってきた。
これらは、このひとり旅シリーズで既に綴った
③チャリスウェル
④ホワイトスプリング
で感じたものとよく似ている。
チャペル内はとても安心で安全な愛のエネルギーで包まれていて、静かで。
何の恐れもなく、自分自身とじっくり向き合えたとても愛おしい時間だった。
宿のオーナーが教えてくれた愛のチャペル。
もちろん行ったことを報告するととてもうれしそうで、また優しいエネルギーを送ってくれたのだった。
グラストンベリーは、
「自分自身と徹底的に向き合う、会話する」
にはもうこれ以上ない場所。
◉St Margaret's Chapel
ぜひこのチャペルで、あたたかいピンク色の空気で包まれていただきたい。