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夏のかけら

天気予報をみていたら、3連休が明けると気温がまた下がるらしい。最高気温は25〜22度。
ああ、やっと、秋がくる。
夏も好きだけど、やっぱりわたしは少し寒いくらいのほうが好きだなあ。寒い日のほうが、背筋が伸びるから。

お気に入りの軽やかなワンピースや、涼しげなブラウスとも、少しの間お別れ。洗濯をして、大事に大事に、また会えるように、クローゼットにしまおう。
代わりに取り出した長袖やニットは、ちょっとタンス臭い。洗えるものは洗って、あとはクリーニングだなあ。
サンダルももうきっと履かないから、ブーツに入れ替えてしまおう。

ひと通りの衣替えを終えて、ひと息つく。ああ、これでもう完全に、家の中から夏の気配が消えた。新しい季節は、寂しいような、嬉しいような。

そんなふうにゆっくりお茶を飲んでいて、ふと気付く。

足の先の、真っ赤なペディキュア。

夏がまだ、ここにあった。

サンダルを履いたときにペディキュアをしてないと味気なく見える気がして、夏はいつもビビットな色を添えているんだけれど。
この赤がわたしに残る、最後の夏のかけらだった。

どうしようか少し迷ったけど、もうサンダルは履かないし、この赤はここで一旦お別れしよう。
すっきりした足の爪は少しだけ赤の余韻を残して、久しぶりの呼吸をしている。気がする。

けれどね、指先を彩るのに、赤より美しい色をわたしは知らないから。
わたしはこの赤を、秋にも連れて行くつもりだよ。ペディキュアにはしないだけ。

夏のかけらは、秋にも映える。そして冬にも、春にも。 季節は巡り、変わるけど、この赤だけは、ずっと一緒だ。

きっとどの季節でも、PCを触りながら指先をみてにやにやしているわたしがいるのだろうな。

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みどり
世界はそれを愛と呼ぶんだぜ