変わらないもの
一年ほど前に買ったけれど、色が気に入らなくてずっと放置していたマニュキア。
なんとなく、本当になんとなく手にとって爪に塗ったら、一年前のわたしはなにがそんなに気に入らなかったんだろう？と本気で考えてしまうほど、綺麗で上品なピンクベージュだった。
わたしの好きなネイルの色すらころころ変わってしまうような世界なのだから、変わらないものなんてきっとどこにもないんだと思う。
いつだって、変わらないことだけが変わらない。
わかっていたはずなのに、あの頃のわたしはずっと、変わらないものを探していた。 どこにも見つからなくて、苦しかった。
やっとそれを受け入れられたのは、最近のこと。変わりゆく世界や人や思いを、まるごとひっくるめて愛していくということが、生きていくということなのだと気づいたんだ。
わたしが世界を歩くのは、そういう理由かも知れない。知らないことや知らない世界を知っていくことはとても面白くて、それ以上に、変わりゆくものを愛していくことは、大変だけれどかけがえのないことだと知ったから。
ああ、わたしは、変わりゆく世界を、どれだけ愛せるかな。
たくさんたくさん傷つくのはわかっているのに、それでも歩くのをやめられないわたしは性懲りもない人間かな。
でもそれでもいいや。
愛するものが多くあることは、きっと幸せなこと。その気持ちたちは、いつかわたしを守り強くしてくれるはずだから。
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