篠田真貴子さんと語る、子育て歴史研究から考える「母親のあり方」
『LISTEN』の監訳者で、エールという社外1 on 1サービスを提供されている会社の取締役である篠田真貴子さんをゲストにイベントをしました。
テーマは、子育て歴史研究から考える「母親のあり方」。
私たち母親アップデートコミュニティ(HUC)の5周年を記念したイベントで、このテーマで、しかも篠田さんと直接語り合える貴重な機会。
たくさんの学びと気づきがあり、自分の思いこみに気づくきっかけをいただきました。
歴史を紐解くと「思いこみ」から解放される
私たちには、たくさんの「思いこみ」があります。
たとえば「子育ては、親がするもの」とか、「料理は、手作りのほうがいい」とか。これらの思いこみは、生きていくうえで必要になるものもあれば、自分を縛ってしまうものでもあると思います。
私たちがコミュニティのなかで、「子育て歴史研究」をしよう!と思ったのは、この「思いこみ」に気づくためです。
「今、人類史上もっとも孤独な子育て」と言われているなか、子育てと仕事の両立とか無理ゲーななか、心と体が疲弊している人も多い状況です。
歴史を学んでみると、「へー、江戸時代はイクメンの時代だったんだ!」とか「結婚って、"婿入り"が当たり前だった時代があるんだ!」とか、「50人で子育てしていた時代もあるんだ!」とか、「母乳を当たり前のようにシェアしていたこともあるんだ!」とか、今と違う常識を知ることができるんです。
このセッションで気づいた「思いこみ」
今回篠田さんと対話をしていたなかで、いくつかの「思いこみ」に気づくことができました。
①「子ども」の概念
「子ども」は「子ども」として見られていなかった時代があるとか。「子ども」ではなく、「小さな大人」。
そのあと調べてみると、フランス革命の功労者であるルソーが、「子どもを小さな大人」として見る社会通念を否定し、「子どもは大人ではない。子どもは子どもである」とする立場を打ち出したそうです。
子どもは大人よりも弱く、物わかりの悪い存在とされ、子ども時代は早く終わるのが望ましいとされてきたのです。でも、「子どもには子ども時代という固有の世界がある」「子どもの成長を手助けするのが教育」というルソーの主張によって「教育学」が生まれたとか。
②「主婦」の誕生
『“主婦”の誕生』という本があるそうです。
『婦人公論』『主婦の友』といった雑誌で、「主婦」は、憧れの象徴だった。
農村人口が8割、女性が働かない生活は武家とか貴族しかなかった歴史を考えると、主婦はめちゃくちゃ魅力的。
「田んぼ耕すのをしないって、どういうこと?」という感じで。
メディアの存在と、そこから生まれる「憧れ」によって、作り出された「主婦」という存在。
その他にも、「思春期」という概念も20世紀から生まれたこととか、台湾ではワーキングマザーが子どもを親戚に育ててもらって週末だけ会いに行くこととか、色々なお話がお伺いできました。
「子育て最高!」「母親最高!」と言ってもいいんだ
イベントのなかで「少子化」についてのテーマを挙げてみました。
壮大なテーマではあるものの「私たちひとりひとりに何ができるんだろう?」そんなことを問いかけさせていただきました。
よく海外にお仕事などで行かれる機会があるという篠田さん。アジア圏の国に行くと、バスに乗ったときなど、子どもを愛でる雰囲気があるそうです。
たしかに、日本にいると電車に乗るにも、バスに乗るにも「子どもが泣いたらどうしよう…」とか、プレッシャーと緊張感があります。。
私がここでご質問させていただいたのが、「"子育てサイコー"とか、なかなか言えない空気感もあるような気がするんですが、どう思われますか?」
という主旨のことを言っていただきました。
私のなかで、「自分の感情は表に出さないほうがいい」という思い込みがあったのかも?とハッとさせられました。
子育てって、表面的な行為だけ見たら、めんどくさいし、やりたくない。でも、そこには本源的な喜びがある。
もっと子育てをしている私たちが、「子育て最高」とポジティブな側面を素直に表現していくことが、次世代のためにもなるんじゃないか。
そんな気づきがありました。
多様な価値観に触れることが、「思いこみ」に気づくきっかけになる
最後に、篠田さんからいただいたメッセージは、
多様な価値観に触れることが、「思いこみ」に気づくきっかけになるということ。
私たちのようなコミュニティで、色々な人に触れること。
歴史を学ぶこと。
色々なところに旅すること。
海外について知ること。 などなど。
自分が大切にしたい価値観があって、一見周りの人に馴染まないこともあるかもしれない。でも同じような価値観に共鳴してくれる人はどこかにいる。
そんな大切なことに気づかせていただきました。
ありがとうございました。