ビジネスが失敗するたった一つの理由。森岡毅さんのお話からの学び。
『カンブリア宮殿』で、ユニバーサル・スタジオジャパン(USJ)のV字回復をしたことで有名な森岡毅さんの特集がされていました。
TVerの無料配信で観られるのがありがたいです。
森岡さんの本は全部読んでいて、昨日もイベントでお話をお伺いしたばかり。いつも魂がこもっていて、ほんとに熱い。
企業も分かってないお客様が"本能"で求めているものは何か?
をびっくりするくらい、徹底的に、しつこく探求されている。
マーケティングとは「市場価値をつくる仕事」
勝手に売れていく状況をつくること
とおっしゃっていました。
「マーケティング」という言葉がイメージする範囲にとどまらず、ビジネスを成長させるために必要なこと、ビジネスパーソンすべてに刺さる内容でした。学びのメモとして書いておきます。
ビジネスが失敗するたった一つの理由は、需要以上の投資をすること
森岡さんが再生されている真っ只中のネスタリゾート神戸。
国が年金をつかって保養施設をつくり多額の投資をしていたことで、経営破綻しています。1980年に、2,000億円の投資をしていたそうです。
森岡さんいわく、ビジネスが失敗するたった一つの理由は、
需要以上の投資をすること
だそうです。
これだけ聞くと、そりゃそうだよねと思うかもしれません。
でも、問題なのは、この需要予測ができないこと。
需要予測をするには、
・そのビジネスの目的が何なのか?(Objective)
・お客様はだれなのか?根源的な本能の理解。(WHO)
・そのお客様が求めている本能に刺さる価値は何なのか?(WHAT)
・その手段は何なのか?(HOW)
をきちんと抑えておくこと。
消費者に選ばれる必然をつくる。本能に刺さるコンセプトが大切になる。
多くの場合は、HOWから考えてしまう。
そして、これを数学的に算出することで、需要予測を立てていくのが、森岡さん流。
数式で売上を予測して、何にいくら投資をするか決める。
なぜ自分が、その商品を買うのか?
仮説を立て、数式で検証する。
詳しくは、『確率思考の戦略論』という本に書かれています。
森岡さんは小学生のときから数学書を愛読されていたようで、数学から基づくマーケティングを徹底されています。
需要を最大化させるためには、WHO(お客様はだれか?)を最大化する。
USJ時代には、「映画の専門店」を「世界のエンターテイメントのセレクトショップ」に変革することで、WHOが最大化された。
「本能」に刺さる価値をつくる
ネスタリゾートでは、
・山しかない
・アクセスが良くない
・予算が少ない
という中で、なにもないと諦めるのではなく、あるものを数える。
人の本能に刺さるものは何か?
森岡さんは、本能に刺さるものを考え抜くことを、しつこく、しつこくされている。
普段から「鬼滅の刃」などヒットしている作品は、何度も何度も観に行くそうで、どの本能に刺さっているか?を分析されているそうです。
その道を究めた人を分析するのを大切にされていて、ネスタリゾートの例では、山を知り尽くしている「猟師」さんに焦点を当てられた。なんど、ご自身でも、山の魅力を知るために1年かけて狩猟の免許を取ったそうです。
「大自然に勝てる遊びなんて、ない。」がキャッチコピーになっています。
このCM観ているだけで、行きたくなる・・・!
アイデアの神様が微笑むのは、「しつこく」考える人
『カンブリア宮殿』のなかで、
アイデアの神様が微笑むのは、「しつこく」考える人
というお話がありました。
数学や確率論というとロジックだけのことに思えますが、それだけでは仮説はつくれない。
しつこく考えぬいて、アイデアを絞り出す。
ビジネスを成功させるためには、アイデアが必要。
もうひとつ例としてあがっていたのは、西武遊園地の再生。
東京から50km、と微妙に遠い。心理的距離がある。1988年に194万人だった入場者数は2018年には49万人に落ち込む。特長のある顔がない。どう楽しめるか分からない状態。
この心理的距離を超え、埼玉・所沢地域の輝きを取り戻す。
需要にみあった投資額は、100億円。
この予算で遊園地を立て直すのは、かなりチャレンジだったそうです。
古くなってしまった遊具をそのまま作り変えるのでは、成功しない。最新のテーマで作り変えると、10年で廃れてしまう。また作り変えないといけない。
あるもの、つまり古くなったものを活かす。
コンセプトは、「昭和レトロ」。
昭和の世界観をつくりだすことで、古いというデメリットが、懐かしいという価値に変わる。
目玉となるアトラクションは「ゴジザ・ザ・ライド」。
少ない予算のなかで、アイデアを考え尽くして、低予算で創り上げたそうです。
そして10年後も、ソフト(映像)だけを入れ替えることで、新しいアトラクションとして生まれ変わることもできる。長期的な価値を生み出す。
たくさんの学びをいただきました。ありがとうございます。