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ダイバーシティはめんどくさい?から抜け出すために。
昨日は、「WORK and FES 2021」というイベントで、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に関するセッションを聞きました。
「多様性は、これからの可能性。
しなやかで強いチームを実現するはじめの一歩」
これから企業や組織が長期的に高い成果をあげるための鍵を握ると言われる多様性の推進。
前に進めていくためには、知らず知らずのうちに身につけてきてしまった“強者の論理”を自覚し、そこから抜け出すことが必要です。
このセッションでは働く女性の問題をはじめジェンダーについて多くの取材を続けてきた浜田敬子さんと、人間のさまざまな “弱さ=マイノリティ性” を可能性として捉える「マイノリティデザイン」を提唱し、福祉領域を中心に活躍する澤田智洋さんがゲストとして登場。多様性を実装し、力に変える次世代型組織のつくり方についてともに考えます。
ーイベントページより引用
企業のなかで、D&Iをどうやって進めていくか?についてのヒントをいっぱいいただけるセッションでした。
正直、D&Iを口にすると、ちょっとめんどくさい顔をされることが多くあります。
違う意見が入ってくることを脅威に感じてしまったり、「自分のポジションが奪われるのではないか?」というリスクもあります。同じような意見をまとめるのは楽だけど、多様な意見が入ってきたら、話もややこしくなるし、めんどくさいですよね。
じゃあ、「ダイバーシティ、D&Iはめんどくさい?」からどう抜け出せばいいのでしょうか?
こちらがセッション全体をメモしたものです。
セッションでの気づきをまとめていきます。
なぜ今D&Iなの?どんな効果があるの?を明確に
まずは、「なぜ、今D&Iが必要なの?」について、浜田さんからコメントがありました。
まずD&Iの定義については、「違いを認め合うこと」。
D&Iの中でも特にジェンダーが大きなテーマ。
日本は、ジェンダーギャップ指数120位の状況であること。SDGsが盛り上がってきたこと。今年は森元首相の発言があったことなど、いくつかの外部要因があり、D&Iへの取り組みが求められている。
海外に比べると、日本もやってない訳じゃないけど、遅れている。
じゃあ、日本と海外の差は何かと言うと、「危機感」のちがい。
たとえば、北欧は人口減少で、だれもが働きやすい環境を作らざるを得ないという危機感があった。国としての競争力を保持するために、D&Iに取り組まざるを得なかったとのこと。
日本は、「失われた30年」といっているけど、まだ危機感は薄い。
そして、澤田さんからもコメントがありました。
企業側も、マジョリティ(健常者の日本人男性)の意見だけを聞いてても、
イノベーションは生まれないことが分かってきた。
じゃあ、D&Iのメリットは何かというと2つあるそうです。
1つ目は、失点を防げる(視点が欠落して炎上しちゃうリスクを防ぐ等)
自動車メーカーは、これまでマジョリティである男性の視点で車をつくってきている。たとえば、車のシートの構造、シートベルトは男性をモデルにしているため、重傷化率と死亡率が女性のほうが高い現実がある。
2つ目は、得点をできる (思いもよらないことが生まれる)
これまで自動車の開発に入ってなかった女性が入ることで、新しいアイデアや価値が生まれる。
浜田さんからも、D&Iの効果・メリットについて、具体的な事例の紹介がありました。
多様な意見が混じり合うところに強みができる。
アエラの編集長をしていた時に、メンバーの3分の1がワーキングマザーだった。制約からイノベーションが生まれることを実感した。
これまでの長時間労働では成り立たないので、働き方を変えようとチャレンジした。
「特集主義」という3人くらいのチームで特集をつくるという方針を変えた。ワーキングマザーにとっては、予定が立たないことがキツイ。
予定が立てば、出張もいけるし、罪悪感を抱かなくてもいい。
紙の媒体が持っている強みは、深い記事。実は弱みだと思っていたことが、発想を転換することで、強みに変わる。
よく企業のなかで「時短勤務とっているから重要なプロジェクトを任せられない」と言われるけど、これは違う。
この制約を活かしていくことが大切になる。
同調快楽から抜けるには、その場のマイノリティは誰かを意識する
澤田さんから印象的な言葉がありました。
「同調圧力」という言葉はあるけど「同調快楽」があるよね。
同じ意見の人が集まって、話していると居心地が良くなってしまう。
浜田さんからも、このようなコメントがありました。
女性であっても、その場で大多数を占めていることもある。いつも、その場で1番のマイノリティは誰か?の視点が必要になってくる。
その人たちが意見を言いやすい環境づくりが大切。
多様なメンバーが集まるだけではNGで、心理的安全性が担保されないと、意見を言えなくなってしまうとのこと。
じゃあ、どうやってマイノリティをサポートしていくか?
についての浜田さんのコメント。
よく企業のなかで、女性管理職比率の目標を掲げると、「逆差別ではないか?」という声が上がってくる。これまでは圧倒的にマジョリティに有利な環境があった。土壌が公平でなかった。
「ガラスの天井」という言葉がありますが、男性は「ガラスの下駄」を履いてきた。今は、不公平の是正をするとき。
長い歴史があるアメリカのオーケストラの実技試験では、候補者の顔が見えないよう、性別が分からないようカーテンをしただけで、女性の採用比率が上がったそうです。
管理職の候補者を上げるときに、男性と女性の比率を合わせる。
女性には、3回声をかけるなどの公平な土壌づくりが必要とのこと。
よく女性は自信過小の傾向があると言われますが、マイノリティはアウェイで他流試合をしているようなもの。マジョリティはいつもホームで試合ができる。
でもこれに中々気づかないので、D&Iに取り組むことが結果的にみなさんにとってプラスですよ、というコミュニケーションが必要。
逆D&Iの視点から生まれるAnother Reality
「マイノリティデザイン」の本を書かれている澤田さん。
全盲の息子は、環境によっては強みになる。
自分のなかでもマイノリティが存在していて、たとえばスポーツが苦手なこと。スポーツマイノリティは4割いる。
スポーツメーカーはこれまでマジョリティしか相手にしてなかったが、マイノリティのところにビジネス機会がある。
この発想から、「ゆるスポーツ」が生まれたそうです。
たとえば、500歩サッカー。
500歩のカウントの中で行うサッカーは慎重になりがちですが、最初は歩数がたくさんあるので皆さん走り回ります。カウントは休む時間で少しずつ回復するものの、常に動くサッカーでは、なかなか回復せず、カウントが少なくなるとベルトの色が変わります。
自分では見えないカウントを仲間に教えてもらいながら、チームワークでゆる〜く行うサッカーです!!
※下記インスタグラムから引用
魅力は、みなさん公平に持っている。
でも、どうしても弱みは罪悪感として持ってしまう。
社会の仕組みが追いついていないから。
それを取り除いてあげることが大切で、そのためにD&Iが必要になる。
たとえばLGBTQの方は、なかなかカミングアウトできずに、「週末になにをしていたの?」と聞かれても、本当のことが言えずに嘘を重ねてしまう。これで罪悪感が生まれてしまうそうです。
最後に澤田さんからコメントがありました。
マイノリティの方の視点を知ることは、ワクワクする。これ以上のエンターテイメントはない。
自分が体験できてなかったものを体験できる、Another Reality。
D&Iやダイバーシティというと、肩に力が入ってしまう。
肩の力を抜いて、人との違いを楽しむ。遊びゴコロを大切にしていきたい。
たしかに、ダイバーシティやD&Iはめんどくさいし、時間もかかります。でも、推し進めることが、マイノリティに限らず、あらゆる人にとって必要で、効果もある。そして、楽しみながら進めるにはどうすればいいか?を考えていきたいなと思いました。
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