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なぜコテ・アルジェリアンの方が居心地がいいのか

「コテ・アルジェリアン」とは、フランス語で「アルジェリア側の」という意味。
私の夫は父方にアルジェリアの血筋をもっている。
イスラム圏のステレオタイプ通り、兄弟姉妹、親戚の多い家庭なので、次から次へと義理の叔母さんや叔父さんが増えて、名前と顔を一致させるのに一苦労している。

これまで、生粋のフランス家庭と、イスラム系家庭との両方に住まわせてもらってきたが、その中でなんとなく感じたことがある。
それは、コテ・アルジェリアンの方が居心地がいいということ。
この感覚がどういう理由からくるものなのか、最近まで分からずにいたが、ようやく答えが見つかった。
下の図を見てほしい。

https://lesliepjohnson.wordpress.com/2020/01/06/cq-how-are-we-different-part-nine-context/


左に行くほどローコンテクスト、右に行くほどハイコンテクストの言語を示している。
ローコンテクストの言語圏では、言葉に重きを置くため口にしなければ伝わらないことが多い。
逆にハイコンテクストの言語圏では、動作や表情を重視するため1から10まで言葉にする必要がない。
見ての通り日本語とアラビア語は共に超ハイコンテクストの言語であるのに対し、フランスを含む多くの西欧言語はローコンテクストのグループに属している。

例えば、

「今日一緒に出かける?」と言われたとき、
「ん?あぁ...うん...いいよ?」と答えると、
フランス人だと、「よしじゃあ行こう!」
コテ・アルジェリアンだと、「また今度にしよか。」
と返って来る。
「うん」という言葉だけをとるのがフランス人で、その裏にある気持ちを読み取れるのがコテ・アルジェリアンだと、私は感じている。

日本人かつ内向的な私にとって、自分の気持ちや意見をそこまで親しくない相手に100%表現するのは、なかなかの苦行。
その点、コテ・アルジェリアンでは全てを言わずとも汲み取ってくれるのでありがたい。

とはいえ、ここはフランス。
白黒はっきりして弁が立つ人ほど好まれ、寡黙な人は損をする。
「阿吽の呼吸」「空気を読む」「暗黙の了解」、そんものは存在しない。
控えめな私を変える必要はなくとも、ここぞという時には強く自分を表現できるように、少しづつ努力していきたい。

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