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<詩>すべからく

拭いていた包丁が
手からすべって
キッチンマットの上に落下した
両手両足を瞬時に広げて
落下する包丁を避けた
足には刺さらなかった
左腕の内側には
刃が触れた時のような
鈍い感覚

後からじんわり血がにじんで
やっぱり触れてたんだ
わかる
ミミズ腫れのような赤い傷を
なぞる
あの当時みたいに
自分の意思で刃をあてたのと
ちがう
今は
全身の筋肉を使って
とっさに
よけてた

私の意思は私を
傷つけないことを選んだ
あの時とはちがう

そっと包丁を戻した

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