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TOWA TEI(+KOJI1200)×tofubeats(feat.藤井隆)×中村佳穂

 もう、タイトルだけで情報量が多い。いったい何の数式だ。
 「TOWA TEI(+KOJI1200)× tofubeats(feat.藤井隆)× 中村佳穂」を観に、高崎芸術劇場スタジオシアターへ。

またまたまたまた来た

 そもそも発表時はTOWA TEI × tofubeats × 中村佳穂だった。この3組だけで充分すぎる座組なのに、追加発表がよしもとから藤井隆と今田耕司。もとい、SLENDERIE RECORD主宰の藤井隆とKOJI1200。
 4500円っていう内容ではないでしょうよ。高崎市の公共施設で主催に市が入っているとはいえ、やはりこの音楽祭は太っ腹にもほどがある。

何かの間違いでは?というレベル

 整理番号が若く、最前列どセンター。左側ピアノ前は早々に埋まっていた。少しの緊張と高なりと。

 

 トップバッターは中村佳穂の弾き語りピアノソロセット。手の込んだパッチワークデザインの衣装が、個性的でなんとも素敵だ。
 この日のラインナップでは明らかに異色サイドにいるはずが、登場するなり、まるで地元凱旋公演かのように熱狂的な歓声と拍手。高崎はずっと彼女を待ち焦がれていた、はっきりとそれを感じる。
 「おっ、おお?えー、そんな感じなの!?」 あまりの歓迎に演者が気圧されている。仰け反り、驚きの表情と笑みが何度も浮かぶ。
 「マジかー」
 戸惑いの色を見せつつ即興で感謝を伝えてから、誰もが知る曲として選んだのは「あんたがたどこさ」。これが鬼気迫る好演、グランドピアノ一本で渦どころか蜷局まで巻くようなグルーヴの「あんたがたどこさ」は、彼女にしか生み出せない唯一無二の一期一会。万雷の喝采。ひとつひとつの音が重なればそれは音楽。音楽の化身は歌うような語りを織り交ぜながら奏でていく。
 勢いのまま「きっとね!」「アイミル」をバチバチに弾き、エモーショナルに歌う。おそらく聴衆も待ち望んでいただろう美しい「さよならクレール」から、即興であらためてこの歓待への謝辞と自己紹介を。
 最後は「忘れっぽい天使」で尾をひくように終えた。この曲の最後の歌詞、それまでのすべてを自省にもっていく美しい円環が余韻を残す。それにしてもスタジオシアターの圧倒的な音響のよさ。微風が頬を撫でるようなウィスパーボイスも綺麗に聴かせるPAの仕事に、敬意を表したい。

 実はトリかと予想していたが、続いて登場したのはTOWA TEI。
 Enlightenmentのサイケ味強いVJとバチバチのDJをホールで、というのも新鮮。 
 「APPEL」「UPLOAD」と進むが、会場の反応が明らかに先程と違う。なぜだ。・・・・・・いやこれ、盛り上がっていないのではなく圧倒されていたのではないか。どこで反応していいのかをはかりかねている感があった。それがまた面白い。かまわず、わたしは盛り上がる。
 「Phunky Date-Fashion」から「The Heat」「Gimme! Gimme!Gimme!」「Sex Machine」など短いMCを挟みつつプレイ。「MARS」からの「TYPICAL!」がこのセトリで最高。これはもう生ならでは、音も勿論のことQ&Aが捻りとアイロニーガツンと効いていてツボ!本人は途中
 「前座ですから」
 などと自虐してみせたが、会場全体が音と光の渦に飲み込まれているのを背中で感じていた。
 ゲストにKOJI 1200(今田耕司)を迎えての新曲「Shining Star」は藤井隆も参加のスペシャルコラボレーション。KOJI 1200を令和で生なんて、あまりにレアだ。生だけに。
 軽妙な喋りとPRもしっかりかましてからパフォーマンスでひときわ盛り上げる、よいステージだった。

 ロマンティックが欲しい聴衆に応えるかのように繋ぎSE「ナウロマンティック」で大盛り上がりから、なだれ込むようにtofubeatsのステージがスタート。
 TOWA TEIの洗礼でフロアがDJの水に慣れたとも見え、「RUN REMIX」「STAKEHOLDER」「LONELY NIGHTS」「RASEN」と進むたびにフロアが沸く。大好きなナンバー「WHAT YOU GOT」「YOU-N-ME」のコンボはわたしに効く、とびきり効く。最前で良かった。
 「I CAN FEEL IT」から、ゲストに中村佳穂を迎えて「REFRECTION」を。ものすごい歓声。愛だわ。
 さらにたたみかけるように「水星」で盛り上がったあと、今度は藤井隆を招いて「ディスコの神様」「メモリアフロア」。圧巻。アーティストでアイドルでMC、圧倒的な存在感。弾ける汗、激しくダンスしながらも揺るがない確かなボーカルとスマイル。しかも、本編ラストはトドメに誰もが知るヒットチューン「ナンダカンダ」。指をさされて、魂抜けるかと思った。

 アンコールに応えて出てきたのはtofubeatsとTOWA TEI(撮影)。予想外のアンコールということで若干のトラブルはライブならではのご愛嬌、tofubeatsが「RIVER」熱唱でしっとりと場を揺らして特別な一夜の幕を下ろした。

あらためて壮観


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なつめ
なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」