音楽とオクトーバーフェスト
高崎音楽祭の折、館内サイネージで「音楽とオクトーバーフェスト」というイベントが催されることを知った。
場所は、高崎芸術劇場のガーデン。
ドイツでのクリスマスマルクトを少し思い出した。ビール、ウインナーにワイン。わたしはお酒は飲めないけれど、パートナーはどうだろうか。予約不要のチケットフリーというのも、事情ありきの身にはハードルが低くて助かる。
このところパートナーのメンタルはすぐれない日が続き、周りもともに心配がつのっていた。でも。
「シェフのキーマカレー、食べに行く?」
午後。赤いフラッグがぱたぱたとせわしなくはためいていた。
体調と気持ちを確認し配慮しつつ、途中から。少し強い風に乗って、ジャズの音色は歩道にも響いていた。いわゆる空っ風なのか、思っていたよりも肌寒い。薄着のパートナーに、慌ててMUJIでシンプルなフーディーを買う。駅ビルまで少し走った。
二組の演奏を聴いた。
トリをつとめた地元ジャズバンドのステージはコミカルで、だが楽器隊の腕はしっかりとしたものだった。笑わせるためには、技術がよりいっそう必要になるよね。そんな言葉を曲間に、少しだけ交わす。
おそらく顔馴染みと見られる一群の大きく明るい声援や、パーカッションを配られた小さな方たち。にこやかに参加するさまも微笑ましい。ここはやっぱり音楽の街なのだなと再確認した。
久々に連れ立って、必要に迫られていないお出掛けができて良かった。もし同じように感じてもらえていたらいい。
辛み少なくマイルドだけれどスパイスの香り高い、淡い黄色のキーマ。あんなふうにいつかやさしい思い出になったなら、それだけでいい。
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なつめ
がんサバイバー。2018年に手術。
複数の病を持つ患者の家族でもあり
いわば「兼業患者」