Mrs. GREEN APPLE DOME LIVE 2023 “Atlantis"
日曜日、Mrs. GREEN APPLE DOME LIVE 2023 “Atlantis"を、ベルーナドームにて。ミセスのライブははじめて。
10周年記念ドーム2daysの2日目。まさか抽選で当たると思っていなかったので、ほんとうにびっくり。開場を前に、突然の強い雨がザアっと降りそそいだ。ほんの少し涼を連れて。
歌がとにかく上手い。喉から音源などというクリシェがあるが、喉から音源以上のものを放つから人は魅せられるのだと思う。フェイクの上手いハイトーンVo.は元々大好き、表現力も発声もグッとくる。天を目指し突き抜けるような声、やわらかく孤独を包むような声。伸びやかに変幻自在に、ひとつひとつの世界を生み出していく。
ギターもキーボードも、サポートメンバーも素晴らしい演奏。華があるバンドだなと、あらためて思う。アレンジメント、フレーズが粋だ。
これまた大好きなケルト音楽の要素が含まれる曲があるのも、やはりボーカルの声質ととてもマッチしていていい。
音楽が素敵なのは勿論のこと、この日は総合エンターテインメントとしてのライブを存分に堪能。スケールの大きい会場ならではだろう、演出のゴージャスさ。やりたいことを詰め込んだ玉手箱みたいな楽しさ。
水とライティングの相乗効果・花火・せり上がり・ダンスといった各要素をふんだんに用い、まさに10周年の祝祭といった趣向。特にコンセプトを反映した水の演出には感嘆した。
グッズのライトスティックが光の演出に組み込まれていたのだが、これが素晴らしい。ときに星空のように、時に海のように会場中が楽曲にあわせて光るさまは美しかった。
そしてこれを一部楽曲ではオフにして、ただホワイトライトで包み込むような光と影を見せる。その曲の世界観を最大限に表現し活かしたところが、とても胸に迫った。
わちゃわちゃとした前半のほのぼのMCから一転、終盤のMCは胸を打つ。
編成含め10年のうちには色々あり、多面的に変容していくが故に時に「あの頃が良かった」と語られるのは、バンドが生き物であり続いていく以上必然ではある。
それでもなお、軌跡の中にすきだという切り取った場面があるならば嬉しい、という言葉に感銘を受けた。
ひとりひとりの折々のどこかで自分たちの音楽が鳴り響いて、それがよき記憶になっていることに対しての感受性が高く、素敵だなと思った。つぶさに拾ってしまえばこそ、つらいこともあるだろう。しかしその分歩んできた道のりへの感謝とリスペクトを感じる、10年の重みを纏ったとてもいいMCだった。
紡がれた言の葉たちを受けての、「ケセラセラ」の強さ。繊細で生きることにもがくような歌詞も多いミセスだが、10年を経てオーディエンスとともにまた一歩前に踏み出す。強くしなやかにあらんとする、ただ明るいだけではない前向きな姿勢がいい。
アトランティスは水底に沈む、だが海の底に沈むようなつらいことがあっても大丈夫と歌いきる。真っ直ぐにセルフラブを奏でる音は、どこまでも高らかに響くだろう。
【セットリスト】
ANTENNA
Speaking
サママ・フェスティバル
アンラブレス
アボイドノート
Love me, Love you
Soranji
青と夏
ロマンチシズム
フロリジナル
BFF
僕のこと
私は最強
Loneliness
絶世生物
ダンスホール
Magic
encore
我逢人
庶幾の唄
ケセラセラ
なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」