小野雄大、モルタルレコード
日曜日。
ドタ出でモルタルレコード、小野雄大さんの「桜満開ワンマンライブ」を観た。
インコグニートにジャネット、「四月になれば彼女は」ときて、なんだかふと、足元にぽっかり穴が開いているような気がした。
4月にひとつ楽しみにしてきたことはある。だがぽっかりと、足元がない。空白がいちばんよくないことは経験上知っている。
考えあぐねながら午前中の予定を3つ終えた。もそもそと昼食を作って胃に送り込んだあと、午後の予定がスパーンと飛んで、あれよあれよという間に状況がととのったのだ。2時間前までは無理だった。きちんと行けることになったのは1時間半を切った頃で、店がすぐに空きの返信をくれた。
ありがとう、車飛ばして良かった。運転で行ける場所で良かった。
「ちょうどいま、始まったばかりです」
漏れ聞こえる音を辿るように2階へ。ランタンのあかりとあたたかみのある装飾。小さな丸い椅子。声とギター。
恥ずかしくなった、と少し暗くされる照明の薄暮れ感。
360度、魂の夜明け。まさか全員で歌うなんて思ってもいなかった。まるで解き放たれたようで、自分の声量をすっかり忘れた。煩かったりしていないといいが。
体温、君の追い風、にじみ。無敵。カバーのカモメはカモメ。ペーパームーン。最愛、miracle、これから出る曲。わがままなからだ、いつものこと。光源、あこがれ。まだ他にも。
順番は忘れた、でも全てがいまちょうど必要だった。響いた。
途中から入って終わったらすぐ帰るというバタバタ加減だったが、色々と思い切って行けて良かった。
停めた駐車場の場所をわすれて、光のアーチをくぐりながら歩いた。足元に道は出来ていた。
◇ ◇ ◇
「猫、我輩」の前のMCで、名のある人のたとえに藤井風と星野源が挙げられていて。
風さんは幸運にもデビュー後早い段階から聴いていたし、源さんは家族がSAKEROCKの頃からずっとすきなので(わたしもすき)、なんかこうグッときてしまった。
どちらも今や押しも押されぬミュージシャンだけれど、いまだにうれしい。おかしいだろうか。
ニャーのシンガロング、楽しかったな。
なつめ がんサバイバー。2018年に手術。 複数の病を持つ患者の家族でもあり いわば「兼業患者」