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土岐麻子×和田唱 TWO OF US
好んでよく聴いてきたもののライブに一度も行ったことがないバンドはたくさんあり、Cymbals(2003年解散)もTRICERATOPSもそのクチだ。
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この日はその2組のボーカリストが共演する、高崎音楽祭2024のクロージングプログラム。両バンドの熱心なファンに誘われて観に行った。
実は同級生というふたり、どちらもジャズ好きとのことでオリジナルにスタンダードを織り交ぜた内容。
高崎音楽祭ではTENDREやアンサリーとも共演してきた土岐麻子が、ジャズトリオセット「Just one of those things」で幕を開けた。続く「My favorite things」もシングス繋がりジャズの名曲から。
Shin Sakiura作曲の「NEON FISH」で都市の中のやりきれなさと孤高を歌う。この曲の「弱く卑怯でいるよりも」からのフレーズが、誰にも奪われない強さを感じてとても好きだ。
レコーディングしたばかりでこの日が初演ならぬ二演目という新曲「LONELY GHOST」もとても良かった。
ステージに和田唱を招いて、「Cheek to Cheek」を。息がぴったりとあう。
とめどない同級生トークは校歌や絵画クラブの思い出、そして好きなジャズを紹介しあっていた話へ。その中から、28歳の若さで命を絶ったジャズシンガー・Beverly Kenneyの「Destination Moon」をカバー。ジャズ全盛からロックの時代へ、移り変わりゆくものに翻弄され命が失われたとしても、真に優れた作品は残る。
和田唱はソロセット弾き語りのステージ。「Harajuku-Crossroads」から生年を題にとった「1975」へ。SMAP草彅剛に提供した「藍色のGANG」、あらためてメロディーに優れた格好いい曲だと思う。
ギターを置いてピアノに向かい、新曲「涙のボトル」を弾き語り。出来たばかりのほやほやで録音もしておらず、この日が初演。土岐さんに対抗、いや戦うわけじゃないけどと笑って披露されたそれはまさしく名曲。泣けないからといって冷たいわけじゃない、メッセージが響いた。
土岐バンドが再び登場。和田が土岐に提供した「Perfect You」、ふたりとも大好きで特に和田の思い入れが深いMichael Jacksonのナンバーから「HUMAN NATURE」をコラボレーションして本編を終えた。
鳴り止まない拍手に応えてのアンコールは3曲。公演タイトルにちなんでThe Beatlesの「TWO OF US」から松田聖子の名バラード「SWEET MEMORIES」、一転して最後は土岐もカバーしているThe Rolling Stonesの「(I Can't Get No) Satisfaction」でロックに締めくくった。
どこかハープシコードみのあるふたりの重なり合う歌声は美しく響き、また止まらないお喋りに終始笑い声が溢れるすてきなステージだった。
【セットリスト】
🔹土岐麻子
1 Just one of those things
2 My favorite things
3 NEON FISH
4 ロンリーゴースト/新曲
🔹コラボレーション
5 Cheek to Cheek
6 Destination Moon
🔹和田唱
7 Harajuku-Crossroads
8 1975
9 藍色のGANG
10 涙のボトル/新曲
🔹コラボレーション
11 Perfect You
12 HUMAN NATURE
🔸encore(コラボレーション)
13 TWO OF US
14 SWEET MEMORIES
15 Satisfaction
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