星を食べる
kは毎日星を食べます
空に手を伸ばし
一つ一つ星をつまみます
kが星をほおばると
星のしずくがさらさらと
口からこぼれていき
宙には無数の星のくずがキラキラと舞います
星屑達は集まって
また一つの星になります
kがまた一つの星を食べようと
手を伸ばすと
うっかり落としてしまいました
落ちていった星は湖の底深くまで潜っていき
ぼう ぼう
と水の中から発光しています
湖の発光を宙から見ていたkは
ひょいっと雲から降りて湖に飛び込みました
湖の中はひんやりとしています
水中の星の瞬きをkは飲み込みました
いくら飲んでも
飲んでも
星の瞬きは消えません
そうしていると
kには頬の横にえらが出来ていきました
体は沢山の鱗に覆われ
おひれで水をかき分け
すい すい すい
と水の中を泳いでいます
kは夢中で泳ぎました
するとどんどんkの身体が泡になっていきました
水中に浮かぶ沢山の泡の中に
kはkをみました
そのkもまたkを見ています
最後の泡が消えると
星の瞬きも消えました
あたりには暗闇が広がっています
暗闇は黒い雫となり
どんどん落ちていき
あとには
完璧な静寂だけがのこりました
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