ロストケア 映画から受け取る幸せ26
108.ロストケア(2023)
ある早朝、とある民家で老人と訪問介護センターの所長の遺体が発見された
容疑者として浮上したのは亡くなった所長が務めていた訪問介護センターのスタッフとして働く男
検事は彼が働き始めてから亡くなった介護センターの利用者が40人を超えていることを突き止める
真実を明らかにしようと容疑者を追い詰めていく検事に、男は自分のしたことは「殺人」ではなく「救い」であったと主張する
孤独死、超高齢化社会、介護問題、生活保護、認知症、安楽死、尊厳死・・・
こういったことやそれ以外のことを、この映画は様々考えさせます
自分のことが自分で出来なくなる
自分で自分のことがわからなくなっている
昔だったら、老化や精神の病を患って周りが手に負えなくなった時、時代や場所によりけりでしょうが、姥捨て山という言葉があるように山に置き去りにしたり、座敷牢に閉じ込められたのだろうとよく考えていました
現代はそんな酷いことはしない
そして、別の方法を考えなければいけない
こういうことについても、やはりお金のある場合は良い選択肢を選べます
景色が良くて手厚いケアをしてもらえる整った施設に入り、自分は安心だし、家族に迷惑をかけることもない
検事の母親は、娘が検事なのでそのお金で高級な施設に入っているのかと思いましたが、離婚後女手一つで娘を育てながら生命保険の仕事を頑張って貯めたお金で入所したとのこと
不可能とは言いませんが、とてつもなく過酷ですよね
そんなこと、普通は出来ないと思います
主人公の男は父親の介護で仕事が出来ず、心身ともに疲れ果て生活保護を申請しますが「お父さんはともかくあなたは働けるでしょ」と一蹴されます
生活保護は最後の砦ではなかった
働ける状態って、ちゃんと睡眠時間があって食事で栄養が摂れている健康的な身体のことですよね
お金も時間もなく、健康まで損なわれているのに、生活保護は支給されなかった
こういうことは、映画の中だけにしてほしいです
人間が歳をとったらどうなるか
そのことを私が知ったのは、病院での仕事のおかげ
約3年間だけですが病院で働いて、認知症の方、病気で亡くなる患者さんたちを見てきました
祖父母や親戚が周りにいない環境で育ったので、年老いた人間のリアルに直面する機会はなかったんです
病院は毎日毎日、そういうことに接し考える仕事でした
同時に看護師や同僚から、まるでロボットのように人間扱いされない気持ちも味わいました
入院患者さんとのやり取りは楽しかったけれど、病院関係者との冷え冷えとした体験は辛かった(全員ではもちろんないけれど)
もう戻りたくありません
ただ今回のように、介護現場の様子を考えさせられる時、私は今のままでいいのかなと思ってしまいます
どういう意味かと言うと、少しでも介護の仕事をした方がいいのではと、自分を責めてしまう
人間関係が厳しくて、冷たい環境が嫌でたまらなくて辞めた
そのあとも自分に合った仕事を求め続けてようやく今に至るのに、揺らいでしまう
好きな仕事に巡り会えたにも関わらず、経済的に上手くいっていないからといって逃げにまわってしまう
週に数日でも介護の仕事をした方がいい?それとも・・・
自分の弱さが本当に嫌になります
病院での仕事は自分を救っていなかった
苦しめていた(学ぶものはあった)
自分を救わない仕事はもう二度としない
あの頃は本当に毎日のように悪夢をみていました
映画の冒頭に登場した一文、
「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」
マタイの福音書7章12節
大抵の場合はこれでいいんです
ただ、自分が人にしてもらいたいことが、相手もしてほしいと思うとは限らない
結局わからない
映画を観終わったあと、このマタイの福音書7章12節にゾッとする思いになりました
私はどうしてほしい?
・・・
どうしてほしい?
そのあたりの摺り合わせを、自分が自分であるうちにしておかないといけないかもしれませんね
今回はここまで
また次回、映画で幸せになりましょう
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映画から受け取る幸せ26 終了
(2024年8月7日視聴)
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