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移民労働者の帰国とカンボジアのCovid政策

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7月29日23:45にタイとの国境が封鎖されて、数百人の移民労働者が国境で立ち往生している状況だということは前にお知らせしました。タイの感染拡大に伴って、すでに昨年から続々と労働者たちが帰国していて、それに伴ってCovid-19 ウィルス、とりわけ最近になってからはDelta株の侵入が懸念されて、それを食い止めるために2週間の期限で州間移動を禁止し、国境を封鎖したものです。

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カンボジアは7つの州がタイと国境を接していて、その7州とシェムリアップ州が対象です。シェムリアップは直接国境を接してはいないのですが、他州と比べて人口が多く、プノンペンからバンコクに行くルートの中間点となり圧倒的に人流も多いからです。

私も食料品の買い出しに車でちょっと出る以外はずっと部屋にいて、もっぱら YouTube と、webで Khmer Times 、 Phnom Penh Post (英字紙)を毎日チェックしています。こちらのメディアも政府の規制が厳しいので、政権批判的な記事はいっさい見当たりませんが、それを差し引いてもなお、政府と国民が必死になって Covid-19 と闘っている姿は想像できます。日本で言うならば、Khmer Times は大衆紙読売新聞、 Phnom Penh Post は経済記事が多く、日本経済新聞といったところでしょうか?まったく同じ記事を見かけることもあるので、いわば‶兄弟紙″のようなものでしょう。

私もカンボジアに関してはビギナーの上にクメール語ゼロですから、他にニュースソースはありませんが、この2紙から、カンボジアの対Covid 戦線の様子の一端をお知らせしようと思います。〈 〉内は、記事から翻訳した部分です。

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〈 タイと国境を接する州は、検疫センターと最大200台の追加の軍用トラックを必死に組織して、新しい到着者を検疫センターに輸送している。また、7つの州と、コンポントムなどの近隣地域にはさらに多くのトラックが急いで準備されつつある。〉(8月11日)

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〈 昨夜タイとの国境封鎖が終わり、今朝の午前8時30分から9時30分まで、約300人の移民労働者がバッタンバンのカムリーン地区でカンボジアに戻った。最初の100人の移民労働者に対して実施されたRapid testは、12名のCOVID-19の陽性結果を示した。現在、次の100人のテストが進行中。国境のカンボジア側には少なくとも6つの迅速なテストポイントがあり、陽性の症例は、治療のためにカムリング中学校に送られる。

彼らのテストサンプルは、今朝Deltaバリアントの症例も国境を越えたかどうかを特定するために、PCR検査が行われる。〉(8月13日)

〈 労働者は、陰性陽性にかかわらず、国境検問所から約10kmのサムジャイレーン寺院で、2週間隔離される。国境のタイ側では、タイ軍と民間のトラックが労働者とその私物を運んでいる。〉

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〈 バッタンバン州知事は、国境で次のように述べた。「国境が開いた今、毎日300から500名の人が往来すると予想しています。また、予定された間隔で移民労働者を国境に整然と移送することを約束したタイ当局の協力にも満足しています。」〉(8月13日)

〈 昨日カンボジアに戻った1400人の移民労働者のうち合計149人がCOVID-19の検査で陽性だった。しかし、帰国労働者が登録されて検疫センターに送られ、検査を待つという以前のSOPとは異なり、今回は国境が再開されたとき、移民労働者は国境を越えるとすぐに迅速な検査を受けることになる。

149名の陽性者は、治療センターに直接送られ、サンプルはプノンペンに送られ、感染を確認するためのさらなるPCR検査と、SARSのDeltaバリアントに感染しているかどうかを検出するためのシーケンスが行われた。〉

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〈 パイリン市は、タイから帰国するすべての移民労働者を、SARS-CoV-2ウイルスのDeltaバリアント感染者として分類するという強硬な姿勢をとっている。〉

〈 センターは、新しい到着者の受け入れを開始する前に、次の3日間にわたって徹底的に清掃および消毒される。市場を意図した建物内にあるキャンプスタイルの居住空間に、最大702人の帰還者を収容することができる。〉

〈 パイリン市の副知事であるHok Sophalは、タイからのこれらの到着は、3回の迅速なテストで陰性とテストされたとしても、最大21日間隔離されなければならないとKhmer Timesに語った。「私たちの経験では、症状、特にDeltaバリアントの症状は、17日後に兆候を示し始めます。検疫中の人が21日経ってもまだ陰性である場合、それらは一般的にクリアされます」〉(8月14日)

*私は日本の情報も毎日チェックしていますが、日本はなぜ‶野戦病院″を造らないのでしょう?現在、自宅療養や自宅待機者が万という単位で出ていて、早産した赤ちゃんが死んでしまったとか、家族3人で感染していて、お母さんが亡くなったとか、もう‶人災″としかいいようがないです。

タイでは、私が以前よく使っていたドンムアン空港が‶野戦病院″になっているようです。あの広大な施設なら密になることもなく、トイレなどもたくさんあるし、アクセスも悪くないのでいい決断だと思います。

人口1,700万人ほどのカンボジアは小国で、医療体制など日本とは比べるべくもありませんが、各地域で学校やお寺などを開放してすべての感染者を収容しているようです。

感染症対策の基本である、検査と隔離は徹底していて、rapid test (抗原検査?)の後にサンプルはすべてプノンペンのパストゥール研究所に送られて、最新機器が導入された現在は、2時間でゲノム解析が行われるそうです。

隔離期間も当初は2週間でしたが、タイからの帰国労働者は国境で2週間、その後に各出身地域で1週間の隔離が義務付けられています。移動手段は軍、あるいは専用のトラックで、他の人との接触はいっさいありません。

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〈 ポーサット州では、国境検問所を通過したのは24人の労働者のみであり、全員がCovid-19に陰性であると述べた。健康プロトコルで指示されているように、彼らは21日間検疫を受けています。

州政府のスポークスマンによると、沿岸のココン州では、国境が再開されてから6人の労働者しか戻ってこなかったため、状況は比較的穏やかだった。
「ここから戻ってくる移民労働者はあまりいません。 8月14日、6人だけが戻ってきて、検疫センターに連れて行かれました。彼らはタイでブローカーを雇い、夜に森の中を歩いてカンボジアに戻りました。彼らがカンボジアに到着したとき、私たちの村の警備員は彼らを見て当局に報告し、それから彼らを検疫センターに連れて行きました」と彼は言った。〉

〈市内の推定29の違法な出入国口は現在封鎖されており、さまざまな「ラットの穴」から人々が漏れないように厳重に管理されたままである。〉(8月14日)

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*日本と違ってカンボジアで大きな問題となるのは‶密出入国″です。そもそもタイへの移民労働者というのは、合法的にビザを受給している人よりも、闇ブローカーの斡旋で‶人身売買″並みの労働力の移動が日常的に行われていて、当たり前のように、高額なお金を払って検疫をすり抜けようとする労働者たちが後を絶たないということです。

現在、カンボジア政府は、合法非法を問わず帰国を受けいれると表明しているのに、うまく情報が届いていない労働者たちを言葉巧みにだまして金をまき上げようという輩が、タイ、カンボジア両方にいて、おまけに違法薬物の密輸などもからんで、政府にとっての最難題となっています。

〈 バンテアイメアンチェイ州情報局長の Sek Sokhom は、8月15日にポスト紙に、州は合計1,941人の移民労働者を記録し、585人が8月13日に到着し、1,356人が8月14日に到着したと語った。検問所を通過した後、70人がCovid-19陽性であると述べた。

州ではすでに20の隔離センターが設置されているので彼らを受け入れる準備ができていると述べた。さらに、15の施設が軽度のCovid-19患者を治療する準備ができており、重篤な状態の患者は、カンボジア-日本友好病院モンクルボレイ地区に移送されると語った。また、200台以上の軍用トラックが州内外のさまざまな隔離センターに労働者を輸送するために準備されていると述べた。〉(8月15日)

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〈 パイリン市は、タイから帰国したすべての移民労働者を、SARS-CoV-2ウイルスのDeltaバリアントの保因者またはすでに感染しているものとして分類するという並外れた措置を決定した。

「Delta症状が現れるまでに14日から17日かかると言われていますが、それまでは通常、重大な段階にあります。この時までに、私たちがこれらの人々を一般大衆または彼らの家族の範囲に解放したならば、彼らは彼らの家または家族の無数の他の人々に感染させるかもしれない」と彼女は述べた。彼女は、パイリンには6つの隔離センターと2つの治療センターがあり、そのうちの1つはCovid-19の重症例用であり、この特定の施設には現在300人近くの患者が収容されていると付け加えた。〉(8月16日)

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〈 オッドーミアンチェイ州では、タイからの移民労働者の帰還が今日600人以上に達し、そのうち100人がCovid-19陽性であった。

「私たちは3,000人の患者の治療センターを急いで完成させています。これにはICUユニットが含まれています。さらに、スタジアムの敷地内に3,000床の検疫センターも建設されています。必要に応じて、これら両方の施設を拡張することができます」と彼はいった。彼は、終わりが見えない帰還者の数が増加していることを考慮して、それぞれ最大3,000人の帰還者に対応できる追加の検疫および処理施設が建設されており、まもなく準備が整うと述べた。〉(8月16日)

〈 バンテアイメアンチェイ州政府は、8月17日、昨日689件のCovid-19の新規症例が検出されたと発表した。州政府は、Covidと診断された689人のほとんどがタイから帰国したばかりの労働者であると述べた。これらの帰国労働者は現在、バンテアイメアンチェイ州政府の適切な管理下にある。

また、8月17日時点でSARS-CoV-2ウイルスのDeltaバリアントがカンボジア全土で700以上確認されている。

パストゥール研究所と国立公衆衛生研究所でのCovid-19ウイルスの取り組みのゲノム配列決定に精通している当局者は、公表された報告とはうらはらに、Deltaバリアントはおそらく国内のすべての都市と州に感染していると Khmer Times に語った。(8月18日)

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*プノンペンはワクチン接種もかなり行き渡り、一時期新規感染者が減少していたのですが、Delta株の侵入が確認されて再び規制が厳しくなりました。本日23日のデータでは、Delta株999例を検出、すでに国境地帯からプノンペンに拡がっていることが確認されて、WHOからも勧告が出されています。

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22:00~03:00までの夜間外出禁止令が出ていて、違反者は車、バイクを没収されて、車は250ドル、バイクは50ドルの罰金を払わないと返却されません。それでも違反者は後を絶たないようで、以前は腕立て伏せ100回とか、公園の周り10周とかいう牧歌的な懲罰もあったようですが、現在は厳格に対処されているようです。

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本日8月23日発表の公式データですが、州ごとに出しているデータとは大きな開きがあります。輸入症例が全国で132となっていますが、国境のバンテアイメアンチェイ州だけでも、連日数百人の症例を確認しています。州政府が過少報告をしているという声も聞きますが、それならば当然メディアにも秘匿するはずです。日本のダイアモンドプリンセス号の時のように、別枠で考えているのでしょうか?

とにかく、カンボジアの人口1,700万のうち、200万人がタイに出稼ぎに行くといわれています。現在も続々と自国民が帰国しているわけで、いずれDelta 株に置き換わって行くのではないでしょうか?中国製ワクチンはDelta 株にも有効であるいわれていますが、半年しか効力がないということで、政府はアストラゼネカによるブースターをすでに決定し、国境地帯で勤務する公務員には接種が始まっています。

縁あってカンボジア暮らしになってすでに3年目に入りました。そのうちのほとんどが Covid 下でこの先も読めず、本帰国を勧めてくれる友人もいるのですが、健康状態が保てるかぎり、やはりこちらでの縁の方を選択したいと思っています。

頑張れ!カンボジア!頑張れ!のり子!

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