Oral history 元八路軍農民兵士 薛俊昌
段家塔というのは、樊家山の隣村ですが、尾根道からいったん谷に下がった位置にあります。徒歩で1時間くらいです。そこに元八路軍兵士が住んでいるというので、六六と一緒に行ってみました。谷底のはずれの方に、たったひとりでぽつんと住んでいましたが、このじいちゃんが、写真のように、とてもカッコいい、写真映えのする人だったのです。これまで老人の写真は何枚も撮って来ましたが、私自身、とても気に入っている1枚です。
それで、当時交流のあった、瀋陽の東北師範大学の学生から、どういう経路かわからないのですが、イギリスのなんとかいう出版社に送られて、この写真が月刊誌の表紙を飾りました。他に老人たちの写真と簡単な証言原稿を請われて、確か、12ページだかの特集記事が編まれたはずなんですが、いまだに私はその現物を見ていません。日本ならば、たとえわずかでも‶原稿料″というものが入ると思ってちょっとだけ期待したのですが、いっさい連絡ナシで、幻の出版物となっています。ほんとうに出たのでしょうか?もしほんとうなら、私はこのじいちゃんに現物をプレゼントしたいです。
薛俊昌老人(82歳)の記憶 段家塔
私は20歳過ぎたところで兵役に就いて、賀龍将軍の120師、17団、2営、8連で闘った。日本人が山の上からやって来て、段家焉では連隊長が戦死した。現在その地に埋葬されている。連隊長が犠牲になったとき、彼は私に家人への手紙を託した。彼は日本人が機関銃を乱射したときに流れ弾に中って死んだ。
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