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産業財産権の価値評価-間接的効能の発現-

産業財産権とは、知的財産権のうち特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つの権利の総称である。自分の知的財産権を他者(法人を含む)が侵害していると訴えれば、損害賠償を請求できる可能性がある。また、他者が事業における競合企業だった場合には、権利侵害を根拠に製品開発をやめさせることができるかもしれない。これら知的財産権のうち、特許庁への手続きが必要な4つの権利が産業財産権である。特許庁への手続きや権利の保有にはお金がかかる。つまり、産業財産権は権利を取得する際にお金のかかる権利であ

    • PBRとインタンジブルズとの関係①

      本シリーズは、PBR(株価純資産倍率)とインタンジブルズとの関係について、筆者の知識整理のために作成される。まず初めに、柳ら(2017)の論文への理解のために本稿を作成する。 PBR(株価純資産倍率)についてPBR(Price Book-value Ratio;株価純資産倍率)は、純資産からみた株価の割安性を示す指標である。PBRは'現在の'株価*1を帳簿上の純資産で除することで示される。 PBR(倍)=現在の株価/1株当たりの純資産    =時価総額/純資産 純資産は

      • 経営の意思決定を行うための管理会計における産業財産権の価値評価

        経営者の意向により異なる部分もあるかもしれないが、通例として、社内に発明になりそうな技術がある場合、その発明を保護するために特許権を取得することがおおい。元来、経営の戦略に沿った権利取得の戦術をたてていくべきであるところ、「特許を取らなければならないから特許出願をする」だとか「予算消化のために特許を取得する」という形で特許出願~権利化を行うことは本末転倒と考える。 事業活動を簡単に捉えると、事業会社はお金を集め(売上、投融資)、そこからコスト(営業活動費、開発費、開発維持費