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瞬きもせず
彼の背中を追い駆けた

吹き抜ける風のように
あっという間に流れ去った日々

夏の午後にそよぐ心地良さもあったけれど
立ち止まることなく過ぎ去ったセピア色の景色
雪のように静かに降り注いで
悲しみと愛しさが飽和した夜に溢れた涙
どうしようもない優しさに
びしょ濡れになって迎えた夜明け

彼は 私を連れてどんどん進んだ
ついて行くのがやっとだった
振り返る間も与えず

振り返ってしまったら
彼を見失いそうで
必死でついていった

瞬きもせず

彼を追って 数々の門をくぐった
甘く危険な冒険
彼に魅かれ 彼に涙し
急がしくも楽しい時間

走り続ける背中だけを見つめ
追い駆けた

転びそうになる私に 彼は手をさしのべた
髪の間からのぞく澄んだ眸は
瞬きもせずいつも前を見ていた

彼を見失わないように
必死に追い駆ける

瞬きもせず



Words written in 1994.
from "黒歴史ポエム"


過去のボクは昭和の固定観念や慣習に縛られ、自分や家族を苦しめていた事に気付きました。今は、同じ想いや苦しみを感じる人が少しでも減るように、拙い言葉ではありますが微力ながら、経験を通じた想いを社会に伝えていけたらと思っていますので、応援して頂けましたら嬉しいです。